エピソード94 無実を図らずも証明する結果
『仕事を終えた後に、倅には勿体ない程に良く出来た嫁と、可愛い孫娘とその友達と一緒に飲む麦酒の味は格別であるな♪』
『身に余る御言葉で御座いますわ。義父様♪』
『麦酒を飲んでるのは、爺さんとお袋だけだろうが』
准将閣下と男爵夫人様と希望さんによる男爵家の御三方は、本当に仲睦まじい御家族であると感じます。
『ナディーネも飲みたいなら、一口だけなら構わぬぞ?』
御爺様であらせられます准将閣下の御言葉に対して、ナディーネさんは呆れたように灰白色の髪の毛を揺らしながら軽く肩を竦められますと。
『帝都魔法学園の学生寮で寄宿生活を送る、十四歳の女子学生に酒を勧めるなよ爺さん。酒臭い息をしながら帰ったら、老女教授から何を言われるか予想が付くだろ?』
孫娘であるナディーネさんの言葉に、准将閣下は苦笑を御浮かべになられながら頷かれまして。
『件の帝国女騎士殿は、現役時代には憲兵隊に所属していた経歴もあり、軍律を非常に重んじる性格をしておるからな』
チラッ。
准将閣下はそう前置きをされますと、再び私に孫娘のナディーネさんと同じ、藍色の瞳による視線を向けられましてから。
『軍務省勤務の儂が職権を乱用して、可愛い孫娘であるナディーネの友達に、軍用の魔道具を無許可で貸与したのではないかと、件の帝国女騎士殿はかなり真剣に疑ってな』
成る程。女魔法使いとして能力的には放火殺人が可能な私が、軍用の魔道具を使用して時間的に不可能な犯罪に及んだ可能性を、老女教授は調べていられましたか。
『憲兵隊の副総監であらせられる中将閣下。ケルン家の伯爵閣下の事だが。昔の誼で憲兵隊本部で管理されている魔道具の一覧を、帝国女騎士殿に見る許可を特別に出されたので。無許可で持ち出された魔道具は一つも無いと自分自身の目で確認した帝国女騎士殿は、不承不承といった感じではあったが、花ちゃんへの疑いを解いておったな』
{疑いの余地が無くなるまで徹底的に自ら調べた結果として、我が主の無実を図らずも証明する結果に終わったようですな}
そのようですね髪飾り。あと、准将閣下は孫娘のナディーネさんの学友である私の事は、フロリアーヌちゃん呼びなのは、少しだけ驚きました。




