エピソード91 不得手な分野を無理に伸ばそうとするよりは
スッ。スッ。
『ダンッ!』『ダンッ!』『『ガキンッ!』』
「男爵閣下の御息女であらせられます令嬢の希望さんは、乗馬の講義を受講された際の背筋を伸ばされた騎乗姿も非常に美しく感じましたけれど」
『ダダンッ!』『ダダンッ!』『『ガキインッ!』』
「剣術の講義にて、ザスキア女史と木剣による激しい鍔迫り合いを演じられますと、軍人一家で生まれ育たれたと改めて強く感じます」
帝都魔法学園における、本日の講義は剣術ですけれど。
『ダンッ!』『ダンッ!』『『ガキンッ!』』
鋭い踏み込みをされてから木剣による激しい鍔迫り合いを演じていられます、ナディーネさんとザスキア女史の御二方が。二年生の女子学生の中では、剣術の双璧とされているようです。
「ナディーネが馬術や剣術が得意なのは小さい頃から知っているけれど、ザスキアも剣術が強いのは意外かな?」
ナディーネさんの幼馴染みでもある恵さんによる感想に対して、真実さんが頷いて同意を示されまして。
「ザスキア女史は普段から、今の私達と同程度の小声にて控え目に話されますから。ナディーネさんと剣術で互角に渡り合えるのは、ハンナさんの言われる通り少し意外に感じますわね」
『ダダンッ!』『ダダンッ!』『『ガキインッ!』』
ザスキア女史の御父君は、外務省にて勤務なされていられます官吏だそうですけれど。帝国の君主であらせられます、皇帝陛下の直臣の臣下の身分であらせられる帝国騎士様でもありますから。勅命が下れば軍役を果たす義務がありますので、御息女のザスキア女史にも幼い頃から剣術の鍛錬を積ませた可能性があります。
「私達も帝国の君主であらせられます、皇帝陛下の直臣の臣下でもあります帝国女騎士の身分を目指すには、ナディーネさんやザスキア女史のように、剣術の鍛錬も積む必要があるのかも知れません?」
『ダンッ!』『ダンッ!』『『ガキンッ!』』
「…今からナディーネやザスキアの剣術の水準に私達が追い付くのは、難しいんじゃないかな?」
ハンナさんが激しい鍔迫り合いを続けていられます、ナディーネさんとザスキア女史の様子を薄茶色の瞳にて確認をされてから話されますと。
「不得手な分野を無理に伸ばそうとするよりは、得意分野を鍛えて帝国女騎士身分を目指すべきだと思いますわ。花さん」
ヴェレーナさんは免状貴族身分で、私とハンナさんは平民身分ですから。男爵閣下の御息女であらせられます、令嬢のナディーネさんや。外務省に勤務なされていられます、帝国騎士様であらせられる御父君の御息女でもありますザスキア女史とは、生まれや身分が異なりますから。違う方法で得意とする能力を向上させるべきだという考え方は、正しいと思います。
「はい。ヴェレーナさんの仰られる通りだと思います」




