エピソード648 エスターライヒ
『宮城にて花が、帝国女騎士身分に叙任される日取りが正式に決まった』
『有難う御座います。御父様』
帝都アーヘンの貴族街にありますケルン家の上屋敷にて、帝都憲兵隊の副総監という要職に就かれていられます、伯爵閣下であらせられます御父様は、娘である私に対して鷹揚に御頷きになられますと。
『フロリアーヌの他には、レバークーゼン家の子爵殿の庶子と、ゾーリンゲン家の男爵殿の令嬢と、デュッセルドルフ家の上級の騎士殿の子息と、それと妾妃の連れ子が、帝国女騎士身分と帝国騎士身分に、宮城にて叙任をされる』
アンリ卿と希望さんとルネ卿は解りますが、最後の一人である妾妃の連れ子という御方は存じ上げてはいません?。
『フロリアーヌは帝都魔法学園での地理の講義で、帝国の南東に位置する、ハプスブルク大公家が支配する国の事は学んだかな?』
御父様による御下問に対しまして、私は心底よりの敬意を払いながら恭しく深々と御辞儀を行いまして。
『はい。御父様。ウィーンを首都としますエスターライヒという国では、私達と同じ帝国語が話されていると、帝都魔法学園の地理の講義で学びました』
娘である私による奉答に、御父様は御頷きになられまして。
『その通りだ。同じ言葉を話すという意味では、フロリアーヌと恋仲にあるカール卿の父でもあるツヴィングリ男爵殿が生まれた、帝国の南西に位置するシュヴァイツ共和国と同じなのだが。ハプスブルク大公家が支配をしているエスターライヒは、かなり厄介な国となっている』




