エピソード602 同い年で同性の女魔法使い同士
『ブゥルゥウウッ』
『いよいよ上級の騎士様が御治めになられていられる、ノイス家の御領地だな。花』
厩舎にて厩務員の皆さんが軍馬の準備をされている様子を、乗馬服に着替えた私と希望さんの二人は、作業の邪魔にならないように少し離れて眺めていましたけれど。
『ナディーネさんが軍人一家であらせられますゾーリンゲン家の御出身だからかも知れませんけれど、出征前の帝国軍人の皆様方のような面持ちに見えます』
帝国の君主であらせられます皇帝陛下の軍隊であります帝国軍にて、三十年間勤め上げて軍人恩給を受給されています退役少尉が一家の家長をしています家庭環境にて生まれ育ちました私による感想を聞かれましたナディーネさんは。乗馬用の手袋を填められたまま、御自身の頬を撫でられまして。
『兄貴達がケーニヒスベルク家の辺境伯閣下が大将の軍階級にて指揮なされていられる、東方拡大戦争に出征する前には、妹のアタシの前では笑っていたが。アタシなりに兄貴達が軍場で武勲を挙げたいという気持ちと、家名を汚す振る舞いをしてしまうのではないかという恐怖心を抱いていたのは解っていたつもりだったが…』
ナディーネさんは言葉を切られますと、軽く灰白色の髪の毛を左右に振られまして。
『戦争に行く訳でもないのに、アタシはかなり緊張をしている』
ナディーネさんはそう言われますと、私に藍色の瞳による眼差しを向けられまして。
『退役少尉に育てられたフロリアーヌは、緊張感を隠すのが上手ぇな』
ナディーネさんの指摘に私は苦笑を浮かべまして。
『可能な範囲で緊張感は隠していたつもりでしたが、やはり解りますか?。ナディーネさん』
私の問いにナディーネさんは笑われながら。
『アタシとフロリアーヌは同い年で同性の女魔法使い同士だからな。年齢や性別が違えば気が付か無ぇかも知れねぇが、少なくともアタシにはフロリアーヌが緊張を隠そうとしているように見えたな♪』




