エピソード600 死の王が遺した遺跡
『御初に御意を得ます。上級の騎士様』
『初めまして。ケルン家の令嬢』
『御初に御意を得ます。上級の騎士様』
『初めまして。レバークーゼン家の御令息』
ケルン家とノイス家の領界に建ちます、堅牢な石造りの検問所の建物の内部にて、私とアンリ卿と希望さんとルネ卿の順番にて、ノイス家の上級の騎士様に御挨拶を申し上げています。
『御初に御意を得ます。上級の騎士様』
『初めまして。ゾーリンゲン家の令嬢』
ゾーリンゲン家の男爵閣下の御息女であらせられます令嬢のナディーネさんは、普段は気風の良い話し方をされますが。初対面の御領地と領民を御治めになられていられますノイス家の上級の騎士様の御前では、封建制度を政治体制に採用しています帝国におけます、止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方の家門にて生まれ育たれました令嬢に相応しい振る舞いを取られます。
『御初に御意を得ます。上級の騎士様』
『初めまして。デュッセルドルフ家のご子息』
ルネ卿の御父君であらせられますデュッセルドルフ家の上級の騎士様は、大河でもありますライン川を挟んで対岸の西側の御領地を御治めになられていられますノイス家とは対立関係にありますが。
『挨拶は済んだな。上級の騎士殿』
『はい。内務副大臣閣下』
内務副大臣にして、衛兵隊の総隊長であらせられます、バーデン家の女辺境伯閣下の御前という事もありまして。ノイス家の上級の騎士様はルネ卿に対して、特に反応は示されませんでした。
『昨日聞いた内容を、帝都アーヘンにある帝都魔法学園にて根元魔法を学んでいる、魔法使いと女魔法使いでもある四人に話しても構わぬな?』
女辺境伯閣下による御確認に対しまして、ノイス家の上級の騎士様は恭しく深々と御辞儀を行われますと。
『はい。内務副大臣閣下。帝都魔法学園にて根元魔法を学ばれています、現役の学生でもあります魔法使いと女魔法使いによる知見は、役立つ可能性が御座います』
上級の騎士様の御返答に、女辺境伯閣下は御頷きになられますと。
『上級の騎士殿が治めるノイス家は、長年に渡り伝統を非常に重んじて他家との関わりを避けて来たが理由があってな』
ふむ?。
『初代皇帝陛下が打倒なされた死の王国だが、最強の死霊術師として君臨していた死の王が遺した遺跡は今でも帝国の国内のみに限らず、西方の大国でもある槍之国の一部や、ロートリンゲン公国やフランドル伯国やエルザス伯国でも地下から発見される事があるが。ノイス家でも鉱脈の開発中に地下から死の王国時代の遺跡が発見されたのだが』
ここで内務副大臣閣下であらせられます女辺境伯閣下が、私と同じ瑠璃之青の瞳による視線を上級の騎士様に向けて話しを促されますと。
『鉱脈開発を行いました当時のノイス家の当主は、免状貴族身分の地主に過ぎませんでしたが。銀鉱の鉱脈を掘り当てまして採掘した利益により土地を新たに購入しまして上級の騎士を自称するようになりましたが。掘り当てました銀鉱の鉱脈の中に死の王国時代の遺跡がありましたので。他家に知られると初代皇帝陛下が禁呪として厳しく禁止なされました死霊術に手を染めているのではと疑われるのを恐れまして、遺跡の存在を秘密としました』
成る程。ルネ卿の御父君であらせられますデュッセルドルフ家の上級の騎士様による疑いは、全く根拠が無かった訳ではなかった訳ですね。
『先程も話した通り、帝国の国内では最強の死霊術師として君臨していた死の王が遺した遺跡が発見される事はあるから、それ自体は罪では無いのだが。この先は実際に見せた方が速いな。上級の騎士殿』
非常に強力な魔力を身に纏われていられます、女魔法使いであらせられます女辺境伯閣下に対しまして、ノイス家の上級の騎士様は再び恭しく深々と御辞儀を行われますと。
『はい。内務副大臣閣下。御案内をさせて頂きます』




