エピソード598 ナディーネさんがハンナさんには見せたくない場面
「頑張れよ若者」
「ああ。親父には手紙を書くと伝えておいてくれ。まあ、勘当されるにしろ、別れの手紙くらいは書いて送るべきだからな」
領主代行様であらせられます隼御兄様の部下となられましたパオルさんが、上級の騎士様が御治めになられていられますノイス家の御領地から密造酒を持ち込もうとされた友人に、角灯を手に持ちながら別れを告げられていました。
『運が良かったというべきかな?』
湯浴みを終えまして私と一緒に湯上がりの散歩をされています希望さんが、根元魔法で出現させました光の中で珍しく判断に迷う口調にて話されましたので。
『五十回の鞭打ち刑を執行されて半死半生の状態で帰宅して、一家の家長でもあります父親から勘当を告げられまして、自宅の門の外で痛みで身動きがとれないまま野垂れ死にするよりは、パオルさんは幸運だったと思います。ナディーネさん』
私の感想を聞かれたナディーネさんは笑われながら。
『花は金髪と瑠璃之青の瞳をしている、見た目は磁器人形のような可愛らしさをしてるが、魔法使いの退役少尉に育てられたと話しをすれば解るな♪』
軍人一家でもありますゾーリンゲン家の男爵閣下の御息女であらせられますナディーネさんからしますと、私のような考え方には好感を抱かれるようです。
『私自身は鞭打ち刑を執行した事はありませんが、帝国騎士身分の御代官様の配下が、定められた税を収めない農奴を死ぬ一歩手前まで鞭打ちされたのを、女魔法使いとして治癒魔法により癒す経験は積んで来ました』
私の話しにナディーネさんは、湯上がりタオルを巻かれています頭を揺らして頷かれまして。
『前にも言ったと思うがアタシも鞭打ち刑を執行した事は無ぇが。准将の軍階級でもある爺さんの方針で、咎人が罰を受ける様子は幼い頃から見学させられたな』
ふむ?。
『御父君であらせられます男爵閣下により、ゾーリンゲン家への出入りを許されています御用商人の一人娘でもあります恵さんも一緒でしたか?。ナディーネさん』
私の問いに対してナディーネさんは、首を横に振られまして。
『いや、お子様のハンナには見せるようなものでは無ぇからな。アタシの靴に口吻をして慈悲を乞う咎人を、勝者之民の兄貴とかが引き剥がす場面は、ハンナには見せたくは無ぇからな』
ナディーネさんは幼馴染みにして想い人でもありますハンナさんの事を、本当に大切に考えていられます。
『ヒュウウウーーーッ』
『夜風に当たり冷えて来たな。建物の中に戻ろうフロリアーヌ』
『はい。ナディーネさん』




