エピソード597 直属の部下を欲せられる理由
『チャプンッ』
『私は地方部出身の平民身分の村娘でしたから、御領地と領民を御治めになられていられます止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方の御気持ちを理解するのが難しいのですが。代々仕えて下されています譜代の家臣とは異なります、個人的な部下が欲しいと感じるものなのでしょうか?。希望さん』
魔道具に関する実験は全て問題無く終わりましたので、石造りの堅牢な検問所の建物内にあります浴場にて、ゾーリンゲン家の男爵閣下の御息女であらせられます令嬢のナディーネさんと湯浴みをしていますが、私の問いに対してナディーネさんは少し考えられましてから。
『軍務省に准将の軍階級で勤務している爺さんは、現役の軍人だった女魔法使いのお袋を直属の部下にしていたそうだ。親父とお袋の関係は、爺さんの部下をしていたお袋と跡継ぎの親父が共に過ごす時間が長かったというのが大きな理由らしいな。花』
成る程。
『ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様は、北方半島王国出身だと思われます呪術師の騎士様を腹心とされまして。帝国騎士身分であらせられます隼御兄様は、ケルン家の御領地で生まれ育たれました若者さんを新たに部下にされました。帝国女騎士身分であらせられます豊穣御姉様は、女呪術師の森を専属侍女とされていられますが。ナディーネさんの御爺様であらせられますゾーリンゲン家の准将閣下とは異なりまして、ケルン家の皆様方は全員同性の部下を選ばれていられますね』
『チャプンッ』
浴槽のお湯に浸かりながらナディーネさんは、軽く肩を竦められますと。
『家の場合は爺さんは魔法使いだが親父は一般人だからな。爺さんとしては孫や孫娘が、魔法使いや女魔法使いとして生まれて来るのを期待して、女魔法使いの部下でもあるお袋が跡継ぎの息子でもある親父と過ごす時間が多くなるように仕向けたんだろうな』
その結果が勝者之民少佐を長男とされます魔法使いであらせられます帝国騎士身分の御三方と、末子でもあります女魔法使いナディーネさんという孫と孫娘ですから。ゾーリンゲン家の准将閣下の御考えは上手く運ばれました。
『アタシの場合は幼馴染みの恵という存在に助けられたが。止事無い身分であらせられる貴族諸侯の皆様方の家門に生まれ育つと、アタシみたいに気兼ね無く話せる幼馴染みが居るというのは贅沢な環境になるから、直属の部下が欲しくなるんだろうな』
ナディーネさんには幼馴染みにして大切な想い人でもありますハンナさんがいまして、私には異性の殿方で最も愛していますカール卿と、同性の女性で最も愛しています真実さんがいますから。帝都憲兵隊の副総監という要職に就かれていられます御父様を家門の筆頭とされます、純粋御母様とファルク御兄様とテレーズィア御姉様の御気持ちを完全に理解するのは、家族の一員でしても極めて難しいと思われます。




