エピソード57 アンリ卿とナディーネさんによる感想
『シュタッ』
『希望さんは乗馬時の美しい姿勢だけで無く、下馬する際も助けを借りずに一人で行えますね』
乗馬の講義の時間が終了しましたので、私は帝都魔法学園で働く厩務員でもある馬丁の方の助けを借りて、かなり不恰好に下馬していますが。帝国の貴族諸侯であらせられる男爵閣下の御息女の令嬢でもあるナディーネさんは、誰の手も借りずに一人で素早く下馬されました。
『何事も慣れだろ。アタシは爺さんや兄貴達と一緒に、親父が治める男爵領の領内で、狩猟をして来た経験があるからな』
ナディーネさんと同様に素早く下馬されたアンリ卿も、手入れが行き届いている並びの良い純白の歯が特徴的な笑顔を見せまして。
『封建制度を政治体制に採用している帝国においては、御領地を御治めになられていられます貴族諸侯であらせられる皆様方は、領内にて領民や家畜を襲う害獣である、狼や猪の群れや、熊を駆除する責務があります。花女史♪』
厩務員の助けを借りて何とか下馬した私は、先ずは馬丁の方に対して頭を下げまして。
『いつもありがとうございます』
『お気になさらずに、厩務員としての仕事ですので』
馬丁の方との遣り取りを終えましてから、子爵閣下の御令息であらせられるアンリ卿の方に向き直りましてから、御辞儀を行いまして。
『教えて頂き有難う御座います。アンリ卿』
地方部出身の平民身分である私の反応に対して、黒髪と褐色の肌色をされている貴公子のアンリ卿は、好意的な笑みを浮かべられまして。
『フロリアーヌ女史は本当に丁寧な人物だと思います♪。令嬢ナディーネもそうは思われませんか?』
アンリ卿に話しを振られたナディーネさんも、藍色の瞳を学友の私に向けながら同意をされまして。
『ああ、その通りだな。乗馬の技術や貴族諸侯であらせられる皆様方の社交界で生きていくに必要とされる所作を身に付ければ、フロリアーヌなら、違和感なく受け入れられる可能性は高ぇな』
私の場合は、金髪と瑠璃之青の瞳をしている事もあり。黙って立っているだけなら、上級貴族の皆様方の家門に生まれた令嬢に見えない事もないようです。




