エピソード560 非常に強力な魔力を身に纏われている女魔法使いの御二方
『何なりと御用命下さいませ。御嬢様にゾーリンゲン家の令嬢』
『解りました。湯浴みをしたいので用意を頼みます』
『はい。御嬢様』
ケルン家に仕える使用人の侍女が退室しますと、希望さんが藍色の瞳にて室内を見回されまして。
『ここが花の部屋か。無理を言って同室にしてもらい悪かったな』
ゾーリンゲン家の男爵閣下の御息女であらせられますナディーネさんに対して、私は金髪を揺らしながら首を振りまして。
『先のケルン家の女伯爵閣下であらせられました御婆様が、孫娘である私の為に準備して下された部屋ですけれど、私は城館を訪れる事自体が初めてですので、ナディーネさんが一緒に居て下されますと非常に心強く感じます』
ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様の次女の私と、レバークーゼン家の子爵閣下の庶子にして高潔な貴公子であらせられますアンリ卿と、ゾーリンゲン家の男爵閣下の御息女であらせられます気風の良い話し方をされます令嬢のナディーネさんと、デュッセルドルフ家の上級の騎士様の子息のルネ卿には、それぞれ城館内に部屋が割合られましたが。帝都魔法学園の女子学生でもあります女魔法使いの私とナディーネさんと、男子学生でもあります魔法使いのアンリ卿とルネ卿は、二人部屋にしてもらいました。
『私は地方部出身の平民身分の村娘でしたから、内務副大臣であらせられますバーデン家の女辺境伯閣下の御前にて、非礼をはたらく恐れがあります』
帝都の宮城にて皇帝陛下の御信任厚い官吏として忠勤なされていられます、ゾーリンゲン家の男爵閣下を御父君とされます令嬢のナディーネさんは笑われながら。
『衛兵隊の総隊長であらせられる内務副大臣閣下は、些細な事で目くじらを立てるような狭量な御方では無ぇが。止事無い身分であらせられる貴族諸侯の皆様方の社交界では、隙を見せないのに越した事は無ぇからな。フロリアーヌ』
『はい。ナディーネさん』
私の言動により、先のケルン家の女伯爵閣下であらせられました御婆様と、伯爵閣下であらせられます御父様と、帝国騎士身分であらせられます領主代行の隼御兄様に、御迷惑を御掛けする訳にはいきません。
『多分今頃はアンリとルネも、アタシ達と同じような話をしているな。デュッセルドルフ家の上級の騎士様の子息のルネからすれば、帝国の君主であらせられる皇帝陛下に封土受領之誓いを奉り、爵位を叙爵されている止事無い身分であらせられるバーデン家の女辺境伯閣下と行動を共にするのは、胃に穴が開きそうに成る程の心労だろうからな』
封建制度を政治体制に採用しています帝国におきまして、御領地と領民を御治めになられていられます止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方と接する機会は帝都魔法学園に入学するまではルネ卿は、デュッセルドルフ家の後ろ盾となっていますレバークーゼン家の子爵閣下と、レバークーゼン家と友好関係にありますゾーリンゲン家の男爵閣下の両家に限定されていましたから。ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様の城館にて、バーデン家の女辺境伯閣下と行動を共にされるのは、私とは異なる種類の精神的な負担を感じられている可能性が高いです。
『湯浴みを済ませましたら、晩餐会の席にてアンリ卿とルネ卿には会えますから、御様子は解りますね。ナディーネさん』
『アタシとしてはバーデン家の女辺境伯閣下に加えて、先のケルン家の女伯爵閣下という、非常に強力な魔力を身に纏われている女魔法使いの御二方の御前で、ルネが食事を摂れるかが心配だな。フロリアーヌ』




