エピソード558 御父様による躊躇い
『協力に感謝をする。伯爵殿』
『御役に立てて幸いに存じ上げます。女辺境伯閣下』
帝都の貴族街にあります、帝都憲兵隊の副総監にして、ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様の上屋敷に到着なされました、内務副大臣であらせられますバーデン家の女辺境伯閣下は、衛兵隊の総隊長の制服姿にて御頷きになられますと。
『魔道具の転移門までの案内を頼めるかな?。伯爵殿』
『はい。女辺境伯閣下。御案内をさせて頂きます』
封建制度を政治体制に採用しています帝国におきましては、内務副大臣であらせられますバーデン家の女辺境伯閣下の方が、帝都憲兵隊の副総監にしてケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様よりも爵位も軍階級も上位となられます。
『卿の息女の令嬢だが、帝都の住民の間ではそれなりの知名度があるようだな♪』
沿道の見物人から聞こえた話し声を認識なされていられました内務副大臣閣下の御言葉に対しまして、御父様は優しい笑みを御浮かべになられますと。
『花は私には過ぎた自慢の娘となります。女辺境伯閣下』
御父様による御言葉を聞かれました内務副大臣閣下も、笑みを見せられまして。
『私も身を固めて家庭を持ち、素晴らしい息子と娘を天から授かりたいものだ。そういえば卿の甥の帝国騎士殿は、北方半島王国が後ろ盾となっていた海賊を殲滅した非常に優れた魔法使いだったな。帝都に来る機会があれば紹介をして欲しい』
ピクッ
『はい。女辺境伯閣下』
一瞬、いえ、半瞬の非常に短い極僅かな時間でしたが、御父様は内務副大臣閣下への返答を躊躇われたように感じました?。




