エピソード54 説明が出来ずに残る疑問
『我々のような天から根元魔法の素質を授かりし選良である、魔法使いや女魔法使いとは異なる一般人の大多数からすれば。魔法薬といえば、病気の際に受診する診療所にて、医者や女医から処方される薬程度の認識となります』
帝都魔法学園で受講する本日の講義は、魔法薬に関してですが。
『我々のような選良とは異なり、魔力の理を解さない一般人は、自分達の日常生活を維持するのに必要不可欠な魔道具を製造する際に、百合などを含む魔法薬が、触媒として重要な役割を果たしているのを理解していません』
帝都魔法学園を卒業した後の進路選択して一番多いのは、帝都にある職人街の工房に弟子入りをして、親方の指導を受けながら魔道具製造の技術を身に付ける生き方になりますけれど。
『帝国における便利で快適な文明社会は、我々のような天から根元魔法の素質を授かりし選良である、魔法使いと女魔法使いにより発展して来ました』
…魔法薬に関する講義を担当なされていられる教授は、優秀な魔法使いではありますけれど、二言目には選良と強調される癖があります。
{我が主の方が少数派でして、帝国之住民の魔法使いと女魔法使いの多数派は、講義を行っている教授に近い考え方ではありませんかな?}
講義を受講中ですから、魔道具の髪飾りとは、念話による無音の会話となりますけれど。
帝都にある図書館で読んだ事のある、優生学の影響を受けた魔法使いと女魔法使いが、一定数は居るみたいです。髪飾り。
{帝国の北の玄関口でもある、帝国自由都市リューベックにある叡智学園という、根元魔法を教える教育機関にて教鞭を執られている博士による著作は、帝国の国内に強い影響を与えたようですからな。我が主}
『我々のような選良による根元魔法の素質は、確かに天から授かりますが。ある程度は血統により受け継がれます』
魔法使いとして三十年間帝国軍に勤め上げられた、退役軍人の孫娘として、私も祖父から血統により根元魔法の素質を受け継いだ可能性は確かにありますけれど。それですと実の娘である私に対して、怪物を見るかのような怯えた眼差しを向けた両親や、血を分けた兄弟姉妹の誰一人として、魔法使いや女魔法使いに生まれなかった理由が説明出来ないという疑問が残ります?。




