エピソード534 先のケルン家の女伯爵であらせられます御婆様
『只今帰りましたわ。御父様に御母様に花♪』
帝都の貴族街にありますケルン家の上屋敷に、豊穣御姉様が御帰りになられました。
『ご苦労。総隊長として衛兵隊を率いられる内務副大臣閣下を受け入れる準備は、ケルン家の領地では整ったか?。テレーズィア』
テレーズィア御姉様の御姿が見えませんでしたのは、隼御兄様が領主代行を務められていられます、ケルン家の御領地に魔道具の転移門を使い赴かれていられたからのようです。
『はい。御父様。領主代行であらせられます御兄様と、後見人であらせられます御婆様によります、内務副大臣閣下が指揮なされます衛兵隊の一行と』
チラリッ。
ここでテレーズィア御姉様は、妹の私と同じ色の瑠璃之青の瞳による視線を向けられますと、楽し気な笑顔にて。
『フロリアーヌと帝都魔法学園の学友の皆様方も受け入れる準備は、万事整っておりますわね。御父様♪』
テレーズィア御姉様による御報告を聞かれました御父様は、御頷きになられまして。
『それは重畳。内務副大臣であらせられるバーデン家の女辺境伯閣下は、先のケルン家の女伯爵であらせられた母上を、女師匠として慕われていられるからな。ノイス家への訪問に先立ち、久し振りに会えるのを楽しみにされていられる』
内務省の建物内にて、内務副大臣閣下は先のケルン家の女伯爵であらせられます御婆様の事を、女魔法使いの貴族諸侯としての生き方を教えて頂けた恩人の女師匠だと仰せになられていられました。
『フロリアーヌも母上とは初めて会う事となるが、天から根元魔法の素質を授かりし選良にして、同性の女魔法使に対しては御優しい御方だから、それ程緊張する必要は無い』
ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様による、娘の私を気遣われる優しい御言葉に対しまして、心底よりの感謝の気持ちを込めながら恭しく深々と御辞儀を行いまして。
『はい。有難う御座います。御父様』




