エピソード533 伯父と甥による共通点と大きな違い
『レバークーゼン家では、ご内儀が巧みに当主である子爵殿の手綱を握られている。花』
『はい。御父様』
帝都の貴族街にありますケルン家の上屋敷にて、帝都憲兵隊の副総監であらせられます御父様は娘である私に対して、苦笑を御浮かべになられますと。
『フロリアーヌとは帝都魔法学園での学友でもある庶子の、母親でもある女性奴隷労働者も、レバークーゼン家のご内儀がご夫君に紹介をされたそうだ。御家乗っ取りのような身の程を弁えない大それた野望を抱かない人物だと、ご内儀は信頼されているようだ』
成る程。帝都の貴族街にありますレバークーゼン家の上屋敷では、アンリ卿のご母堂であらせられます女性奴隷労働者が、子爵閣下の御相手を務められまして。レバークーゼン家の御領地におきましては、跡継ぎであらせられますジェローム御兄様と、後見人の子爵夫人様が、子爵閣下が御領地内の御視察を行われます際には、醜女しか視界内に入らないようにされる等の工夫をされていられる訳ですね。
『私は世界一素晴らしい妻に恵まれたが、子爵殿も良縁に恵まれたと思う』
ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様が、深い愛情を込められました瑠璃之青の瞳による眼差しを、純粋御母様に向けられますと。御母様も満面の笑みを御浮かべになられまして。
『妻として嬉しく思いますわ。伯爵閣下♪』
上級貴族であらせられます、ブランデンブルク家の侯爵閣下を兄君とされます御母様は、御夫妻にて二人きりにて御過ごしになられる時だけ、御父様を名前にて呼び慣わされていられます。
『当家の跡継ぎである隼と、妹のテレーズィアにも、良き縁組を探さねばならない。フロリアーヌは既にツヴィングリ男爵殿の嫡男のカール卿と相思相愛の関係にあるが、順番としてファルクとテレーズィアの縁組を先に決めねばならぬから、少し待たせる事になる』
『はい。御父様』
止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方の家門におきましては、兄弟姉妹の縁組の順番にも気を配らねばなりません。
『伯爵閣下の甥にして、ツヴィングリ男爵殿の猶子でもあります帝国騎士殿の、縁組はどうなされますか?』
カタリーナ御母様が、カール卿の義兄でもあります帝国騎士様の縁組に関して尋ねられますと、御父様は難しい表情をなされまして。
『かの帝国騎士殿は、生来恋愛感情が欠落しているので、縁組を無理強いすると北方半島王国やフランドル伯国に亡命される恐れがあるので、慎重に事を進めなくなればならない。北方半島王国が後ろ盾となっていた海賊を殲滅した後に、帝国との関係の改善を先方が望んだ最大の理由は、帝国自由都市リューベックにある叡智学園にて根元魔法を学んでいる、非常に強力な魔法使いの帝国騎士殿の存在が大きいからな』
ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様と、甥の帝国騎士様は、伯父と甥で非常に強力な魔法使いという共通点があられますが。甥の帝国騎士様は、伯父であらせられます御父様のような、伴侶に対する深い愛情は持ち合わせていられない殿方のようです。




