エピソード518 自らの力量のみを頼りとされます魔法使い
『豪商の藪さんは女性の弱味に付け込むような真似は一切されずに、商売人として長期的な利益を得る為の先行投資を行われる殿方ですね。ポリーヌ婦人』
『はい。女主人様。仰られる通りです♪』
夫に先立たれた二回の流産経験のあります二十五歳の寡婦のポリーヌ婦人ですけれど、ボッシュさんから頂いた家の管理人として住み込みで働くようになりましてからは、私の事を実の娘のように感じて表情が明るくなられました。
『御学友の皆様方も、どうぞ御緩りと御過ごし下さい♪』
紅茶と御茶菓子を用意してくれましたポリーヌ婦人が客間から退室されますと、私は希望さんとザスキア女史と真実さんと恵さんに対して。
『私達女子学生からしますと、帝都魔法学園を卒業された先輩の女魔法使いでもあります安定さんは、投資に価するかと思いました』
私の感想を聞かれましたヴェレーナさんは、ポリーヌ婦人が淹れてくれました紅茶を一口飲まれましてから。
『私もコンスタンツェ先輩の事は少し調べさせて頂きましたけれど。帝都魔法学園を次席の席次にて卒業なされた、学業優秀な女魔法使いですわね』
帝都にて手広く商売に成功なされていられます、免状貴族身分の豪商をご父君とされますヴェレーナさんの話しに。ゾーリンゲン家の男爵閣下の御息女であらせられます、令嬢のナディーネさんが灰白色の髪の毛を揺らしながら頷かれまして。
『卒業時の席次が次席とは確かに優秀な女魔法使いだな。首席は誰か解るか?。ヴェレーナ』
ナディーネさんの確認に対してヴェレーナさんも、美しい銀白色の髪の毛を揺らしながら頷かれまして。
『はい。ナディーネさん。フェルディナントという平民身分の魔法使いでしたわね。卒業後の動向までは解りませんから、少なくとも帝都には居られないようですわね』
ヴェレーナさんによる返答を聞かれたナディーネさんは、少しの間考え込まれまして。
『フェルディナント…。どこかで聞いた名だな?』
ナディーネさんの隣に座り御茶菓子を食べていたハンナさんが。
『前にナディーネのお兄さんの勝者之民少佐が話していなかった?』
大切な幼馴染みにして想い人でもありますハンナさんに言われて、ナディーネさんは思い出したという表情を浮かべますと。
『ああ、思い出した。ニコラオス兄貴が確かに以前に話していた。帝都魔法学園に在学中に卒業後に帝国軍に入隊してはどうかと勧めた優秀な魔法使いだったが。帝国軍では上官を自分では選べないと言って断り、確か卒業後はバーデン家の女辺境伯閣下に傭兵として一時的雇われていたが。その後は帝国を出て異国に渡ったらしい』
{自らの力量のみを頼りとされる魔法使いのようですな。我が主}
天から根元魔法の素質を授かりし選良でもあります女魔法使いとして、フェルディナント先輩に憧れないといえば嘘になります生き方ですけれど。私は異性の殿方で最も愛していますカール卿と、同性の女性で最も愛していますヴェレーナさんと共に、帝国で暮らす生活を望みます。髪飾り。




