エピソード514 私は本当に素敵で素晴らしい家族の一員となれました事を
『帝国の君主であらせられる皇帝陛下の直轄領にして、団体の盟主でもあります帝国自由都市リューベックは、能力主義を重んじる帝国の北の玄関口となっているそうですわね。花』
ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様と、御正妻であらせられます純粋御母様との夕餉を摂り終えました私は。帝都の貴族街にあります上屋敷内の豊穣御姉様の部屋に移動をしまして、姉妹にて御話をさせて頂いています。
『はい。御姉様。帝都魔法学園にて魔法薬を調合する講義を受講します際には、帝国自由都市リューベックが異国から輸入をしました薬草も用います』
テレーズィア御姉様は、妹であります私による奉答に対しまして、美しい金髪を揺らしながら御頷きになられまして。
『帝国は根元魔法が盛んな国ですから、私達姉妹のように天から根元魔法の素質を授かりし選良でもあります、女魔法使いが必要とします魔道具や魔法薬を製造するのに欠かせない品々は、ある程度は異国からの輸入に頼らざるを得ませんわね。フロリアーヌ』
『はい。御姉様』
根元魔法が盛んであるという事は、それだけ需要も大きいですので。魔道具を製造するのに必要とされますミスリル銀や、転移門のように複雑な魔道具には欠かせない魔玉等は、帝国の属国でありますエルザス伯国からの輸入に多くを頼っています。
『御父様の甥であらせられます帝国騎士様は、北方半島王国が後ろ盾となりまして長年に渡り帝国自由都市リューベックに対して通商妨害を行って来ました海賊を、叡智学園の御学友や警備隊と共に殲滅なされた魔法使いですから、非常に優秀な御方であるのは広く知られているのですけれど。生来恋愛感情が欠落なされていて、誰も何も愛さない殿方だそうですから。御父様とヴュルテンベルク家の城伯閣下とツヴィングリ男爵閣下は、万ヶ一にも帝国騎士様が異国に亡命なされたりしないように、婚姻以外の方法にて帝国の封建制度の柵に取り込み、逃げられないように細心の注意を払われていられますわね♪』
成る程。娘の私はツヴィングリ男爵閣下の御嫡男様であらせられますカール卿と、帝都魔法学園にて共に根元魔法を学んでいます真実さんを深く愛していますから。甥であらせられます帝国騎士様の処遇に苦心なされていられます御父様からしますと、私は扱い易いと御考えなのですね。
『御教授を頂きまして、心底よりの御礼を申し上げます。御姉様』
私は十三歳までは、帝国の地方部にて平民身分の村娘として育ちましたから。封建制度を政治体制に採用していられます帝国の、止事無い身分であらせられます皆様方でしたら言われずとも理解可能な内容を、テレーズィア御姉様は妹の私に対して、本当に丁寧に御教授して下さいます。
『フロリアーヌは呑み込みの早い妹ですから、姉として教えていて楽しく感じますわね♪』
私は本当に素敵で素晴らしい家族の一員となれました事を、心底より天に感謝を申し上げます。
『有難う御座います。御姉様』




