エピソード504 絶対君主制の北方半島王国
『北方半島王国は帝国とは異なり、絶対君主制を政治体制に採用しているからな。花』
『はい。希望さん』
翌朝。帝都魔法学園の学生食堂にて朝餉を摂りながら、ケルン家の不利益にならない範囲で昨夜に上屋敷にて交わした会話の内容を、アンリ卿とナディーネさんとルネ卿とザスキア女史と真実さんと恵さんに御話しをしました。
『帝国は封建制度を政治体制に採用しているけれど、絶対君主制を政治体制に採用している北方半島王国は、どう違うのかな?』
ナディーネさんの隣の席にて朝餉を摂られていますハンナさんの疑問に対して、ナディーネさんが重い気持ちを込めた藍色の瞳による視線を向けられますと。
『簡単に説明をすれば、北方半島王国には止事無い身分であらせられる貴族諸侯の皆様方がいられ無ぇな。ハンナ』
ナディーネさんによる説明を聞かれましても、ハンナさんはよく解らないという表情を浮かべられまして。
『止事無い身分であらせられる貴族諸侯の皆様方が居ないのに、どうやって御領地と領民を治めているのかな?』
{ハンナ女史は腕輪の主の御父君であらせられます、ゾーリンゲン家の男爵閣下から出入りを許されています平民身分の御用商人の家に生まれましたので。御領地と領民を御治めになられる、止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方が居ない社会を、想像する事が出来ないようですな}
お早うございます髪飾り。昨夜も御父様のケルン家の上屋敷では沈黙していましたね。
『北方半島王国は絶対君主制だから、国王陛下が政治の全てを決定されているそうだ。まあ、実際には一人で国の政治を全て出来る訳が無ぇからな。弟君であらせられる王弟殿下が、兄君であらせられる国王陛下を輔弼あそばれて、王子殿下がユトランド半島…』
ここでナディーネさんは、私の方を向かれまして。
『北方半島王国の言葉で、ユトランド半島は何て発音したかな?。フロリアーヌ』
『ユランですナディーネさん。北方半島王国の首都は王都クベンハウンです』
私の返答を聞かれたナディーネさんは、そうだったなという表情にて頷かれまして。
『ユミルには王子殿下が配置されて、王都クベンハウンでは王弟殿下が兄君であらせられる国王陛下を輔弼するという、王家に全ての権力が集中する仕組みだから。自分の能力に自信のある人物。この場合はケルン家の伯爵閣下の腹心の騎士殿のような人物は、異国に渡り立身出世を目指す事があるな』
ナディーネさんによる丁寧な説明を聞かれましたハンナさんは、今度は得心がいかれた表情にて頷かれまして。
『北方半島王国では国王陛下と王家に全ての権力が集中しているから、それ以外の人達は立身出世の機会が極端に少ない社会なんだ』
{我が主やハンナ女史のような、天から根元魔法の素質を授かりし選良の女魔法使いでしたら、封建制度を政治体制に採用しておりまして権力が分散しております帝国では、立身出世の機会がありますからな}
御父様の腹心であらせられます騎士様も、そのように御考えになられまして、北方半島王国から帝国に移住されて来られた可能性が高いと思われます。騎士様は精霊の声を聞いて力を借りる事が出来ます呪術師のようですけれど、希少な能力の持ち主であるという点に関しては、女魔法使いの私と共通をしています。髪飾り。




