エピソード503 ファルク御兄様から見ます御父様と子爵閣下
『花が脱走兵の呪術師と対峙した時に、騎士殿はいとも容易く相手を氷漬けにして捕縛したのだったな?』
『はい。御兄様。仰られる通りです』
帝都の貴族街にありますケルン家の上屋敷内にて、隼御兄様の部屋に、豊穣御姉様と共に訪れ話をさせて頂いております。
『騎士殿は御父様がどこで拾われた呪術師かは解りませんけれど、北方半島王国の文字が読めた事で、大体の生まれは見当が付きましたわね。御兄様♪』
笑顔にて御話になられましたテレーズィア御姉様の御言葉に対しまして、ファルク御兄様は御頷きになられますと。
『テレーズィアの言う通り、北方半島王国出身の呪術師なのだろうな。父上の腹心の騎士殿は』
いずれはケルン家の家督と御領地を継承なされますファルク御兄様は、伯爵閣下であらせられます御父様から、腹心の騎士殿の出自を知らされない事に少し御不満なようです。
『帝国の君主であらせられる皇帝陛下から、爵位を叙爵されて御領地と領民を御治めになられている貴族諸侯の父上には、陪臣の家臣を召し抱える権利があるから、優秀な呪術師を腹心の騎士殿として重用される事自体は、何一つ問題は無いのだが』
ケルン家の跡継ぎとしてファルク御兄様は、御父様から腹心の騎士殿に関する情報を教えられないのは、信頼されていないのではないかと感じていられるようです。
『まあ、ジェロームと比べれば私は遙かに父上に恵まれている。レバークーゼン家の子爵閣下は、御領地を御視察なされる際に美しい女性を見付けると城館に連れて行かれようとされるから。ジェロームと御母堂であらせられる子爵夫人様は、醜女しか子爵閣下の視界に入らないようにされていられるそうだ』
ジェローム御兄様とアンリ卿の御父君であらせられますレバークーゼン家の子爵閣下は、本当に女好きな御方のようです。




