エピソード497 正式な権利の保障
『チャプンッ。シャアアアッ』
『ルネはお父さんと考えが合わないのかな?』
公衆浴場の女湯の大浴場にて湯浴みを行っていますけれど、鋭い人間観察能力を持ち合わせていられます恵さんによる、率直な疑問に対して希望さんが。
「ルネの御父君のデュッセルドルフ家の上級の騎士様は、帝国の慣習で土地と領民の支配を認められている不安定な立場だからな」
誰に聞かれているか解らない公衆浴場の大浴場ですから、声を潜めながら答えたナディーネさんに対して、ハンナさんも小声にて。
「やっぱりナディーネの家とは、ルネの家は大分違うんだ」
「アタシの家じゃなくて親父の家だが。帝国の君主であらせられる皇帝陛下に封土受領之誓いを奉り、男爵の爵位を叙爵されるというのは。封建制度を政治体制に採用している帝国では、貴族諸侯として領地と領民を治める正式な権利の保障だからな。ルネの御父君の上級の騎士様が、手段を選ばずに爵位を得ようとするのは間違っては無ぇからな」
ルネ卿の御父君であらせられますデュッセルドルフ家の上級の騎士様は、アンリ卿の御父君であらせられますレバークーゼン家の子爵閣下を後ろ盾とされてはいますけれど。封建制度を政治体制に採用していまして、自力救済の慣習もあります帝国においては、不安定な立場にて土地と領民を支配されています。
『私は皇帝陛下の直臣の臣下の帝国女騎士身分になれても、小領主として土地と領民を支配しない事にするね』
ハンナさんの見解を聞かれたナディーネさんは、大切な幼馴染みにして想い人に藍色の瞳による視線を向けながら。
「人には向き不向きがあるからな。親父の長男の勝者之民兄貴も、男爵の爵位を継がずに帝国軍人として生きていきたいと望んでいるしな」
私は帝国の地方部にあります農家にて村娘として十三歳まで育ちましたが。雲上人にも様々な苦労があるのだと、帝都魔法学園にて寄宿生活を送るようになってから学ぶ事が出来ています。




