エピソード490 私にとっては女師匠
『伯爵殿が養女とされたのも解る、十四歳にしては強力な魔力を身に纏っているな。ケルン家の令嬢』
『恐悦至極に存じ上げます。内務副大臣閣下』
隼御兄様による御紹介に与りまして、バーデン家の女辺境伯であらせられます内務副大臣閣下に御挨拶を申し上げますと、私の全身を魔力感知されまして。
『帝都に上屋敷を持つ貴族諸侯の魔力とは波長が異なるな』
ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様の隠し子では無いと、非常に優秀な女魔法使いの視点から内務副大臣閣下は仰せになられますと。
『当然だが金髪の悪鬼の魔力の波長とも異なる。まあ、あの最強の魔法使い殿は、常日頃から一切自らの魔力を隠さないから、今どこに居るかは魔力感知を行えば直ぐに解るがな』
内務副大臣閣下は、ファルク御兄様に対して視線を向けられますと。
『少尉は伯爵殿の領主代行殿として、ケルン家の本領である領地を普段は治めていたな?』
内務副大臣閣下による御下問に対しまして、ファルク御兄様は完璧な所作にて恭しく深々と御辞儀を行われましてから。
『はい。内務副大臣閣下。仰せの通りで御座います。私が不在の間は、先の女伯爵閣下であらせられます祖母が、一時的に領地を御治めになられています』
ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様の、御母堂であらせられます先の女伯爵閣下には、まだ一度も御会いした事はありません。
『堅固に過ごされているかな?』
『はい。内務副大臣閣下。非常に壮健に御過ごしになられていられます』
内務副大臣閣下は、ファルク御兄様による奉答に御頷きになられまして。
『ケルン家の先の女伯爵殿は、女魔法使いの貴族諸侯としての生き方を教えて頂けた恩人でもある。私にとっては女師匠だ』
バーデン家の女辺境伯であらせられます内務副大臣閣下は、ケルン家の先の女伯爵閣下であらせられます私の御婆様とは、個人的な親交があられたようです。




