エピソード49 一対一での会話
{競売会の会場の壇上にて、我が主の記憶を覗かせてもらった際にも感じたが、本当に狭い部屋であるな}
学生食堂で、真実さんと希望さんと恵さんと合流する前に、一度帝都魔法学園の学生寮の女子寮にある、私の部屋へと戻って来ましたが。金髪に着けている魔道具の装飾品でもある髪飾りが、率直な感想を直接私の頭の中に伝えて来ましたので。
『帝国の地方部出身の平民身分の村娘に過ぎない私が、帝都で個室を持てるだけでも非常に恵まれた待遇であると、心底より感謝をしています』
学生食堂で話しを終えた後に、部屋に戻り勉強する準備を整えながら私が答えますと。髪飾りから楽し気な感覚が伝わって来まして。
{別に声に出して答えなくとも構わぬのだがな。我が主よ♪}
明日受講する予定の、講義内容の予習をする為の準備を整え終えました私は。
『声に出して会話をしたら、何か困るのですか?』
純粋な疑問から尋ねた問いでしたが、髪飾りからは僅かに困惑した気配が伝わりまして。
{いや、そんな事は無いが…}
『それでしたら声に出して会話を行っても問題はありませんね。事情を知らない人達が居る場所では、念話による意志の疎通を行いますけれど』
特に他意も無く淡々と自らの考えを話した私に対して、髪飾りからは再び楽し気な気配が伝わって来まして。
{我が主は十四歳という年齢にしては強力な魔力を身に纏われていられる女魔法使いであるが、天から授けられた根元魔法の素質に振り回されない自制心の持ち主でもあられるな♪}
『私の場合は身近に三十年間帝国軍で勤め上げられまして、退役軍人として軍人恩給を受給されながら、地方部で堅実な生活を営まれている家長の祖父が居ました。血を分けた家族の中に、お手本となる人物が居るかどうかにより、人格形成に多大な影響を受けますから。私は家族構成でも恵まれていました』
嘘偽りの無い本心を話した私に対して、髪飾りが少し挑発するような感じで。
{天から根元魔法の素質を授からなかった、実の両親や兄弟姉妹からは、怪物を眺めるような眼差しにて、幼い頃から見られ続けてもかな?。我が主よ}
『ボウッ』
髪飾りの問いに対して私は、掌の上に火矢を出現させまして。
『両親や兄弟姉妹の懸念は正しいです。私はいつではあの人達を根元魔法にて焼き殺す事が出来る能力を有する女魔法使いなのですから。正当な恐怖心を抱く、天から根元魔法の素質を授からなかった一般人に対して、何の悪感情も私は抱いてはいません。髪飾り』
ニイッ♪。
『装飾品に対してこう話すのは奇妙に聞こえますが、いま笑いましたね?』
私の確認に対して髪飾りは、心底より楽し気な気配を伝えて来まして。
{確率は五分の一だったが、競売会の会場の壇上に上がった五人の中では、一番の当たりを引いたと感じてな。我が主よ♪}
『バシュウッ』
掌に出現させた火矢を消滅させた私は、髪飾りが着けている金髪を揺らしながら軽く首を振りまして。
『ヴェレーナさんやナディーネさんを過小評価しない方が良いですよ。帝都魔法学園にて共に根元魔法を学ぶ学友でもある彼女達は、非常に優れた女魔法使いですから』
{御言葉を肝に銘じるとしよう。我が主よ♪}




