エピソード48 仮の主と装飾品
『シュルンッ』
『やれやれ、本当に疲れたぜ…』
自分自身が自宅だと認識している場所固定で瞬間移動が行える、根元魔法の帰還で私と希望さんと真実さんの女子学生の三人は、貴族街にある男爵閣下の上屋敷から、帝都魔法学園の学生寮である女子寮に帰って来ました。
『お風呂を、ナディーネさんの御父君であらせられる男爵閣下の上屋敷で、貸して頂けて助かりました』
ナディーネさんの御母堂であらせられる男爵夫人様からは、上屋敷での夕餉にも御誘い頂けましたが。
『恵に事情を話してくる。後で学生食堂で合流な』
疲労困憊されたナディーネさんは、大切な幼馴染みでもあるハンナさんと一刻も早く会い癒やされたいと、言葉には出さずとも態度にて現していましたので。上屋敷にて湯浴みだけは澄ませまして、止事無い身分の皆様方が多数参加なされていた競売会の会場で髪の毛などに移り香をしました、香水の香りだけは落としてから、学生寮に帰って来ました。
『はい。解りましたナディーネさん』
『ハンナさんへの説明をお願いしますわね。ナディーネさん』
私とヴェレーナさんに対してナディーネさんは軽く手を振られますと、女子寮のハンナさんの部屋へと向かい歩いて行かれました。
{あのナディーネとかいう女魔法使いも、複雑な気持ちを内心にて抱いておるな}
金髪に着けている髪飾りが、直接私の頭の中に自らの意志を伝え来ましたが。
『ヴェレーナさんにも聞こえていますか?』
私の確認に対して直ぐ隣に立つヴェレーナさんは、魔道具の首飾りを下げられたまま、銀白色の髪の毛を揺らしながら頭を振られまして。
『いいえ、花さん。自らを五つの装飾品に分割されて、私達五人を仮の主とされた意志ある魔道具でもある遺失魔道具の声は、それぞれ身に着けている人にしか聞こえないようですわね』
{そのヴェレーナという女魔法使いの言う通りであるな。我々の念話は、他の者に聞かれる心配はせずともよいぞ}
つまりは、ヴェレーナさんと首飾りによる念話も、私と髪飾りには聞こえない訳ですね。
{その通りだ。やはり頭の回転が速くて理解力があると助かる♪}
『この装飾品は、人を煽てるのが巧みですわね。フロリアーヌさん』
ヴェレーナさんを仮の主とされた首飾りも、私を仮の主とした髪飾りと同じような念話を交わしているようです。
『はい。ヴェレーナさん。使い方次第では非常に便利な装飾品ですが、過度に依存しないように注意をしなければいけません』
私の考えに対して、金髪に着けている髪飾りから、楽し気な意志が伝わりまして。
{本気でそのように考えておるな。我が主よ♪}
『はい。何事も過度に依存するのは危険ですから。髪飾り』




