エピソード479 ファルク御兄様
『花とは、家族の一員となってから会うのは始めてですね』
『はい。御兄様』
帝都憲兵隊の副総監の要職に就かれていられまして、非常に御多忙な御父様に成り代わられまして、ケルン家の御領地の本領にて領主代行をされていられます御兄様が。今宵は魔道具の転移門を通りまして、貴族街にあります上屋敷を御来訪あそばれていられます。
『御兄様は競売会の会場にて、仮面を被ったフロリアーヌとしか会った事がありませんでしたわね?』
豊穣御姉様による御確認に対しまして、御兄様はケルン家の家族の皆様方に共通されていられます、御美しい金髪を御揺らしになれながら御頷きになられまして。
『その通りだねテレーズィア。競売会の会場でも私やテレーズィア程では無いけれど、強力な魔力を身に纏う女魔法使い殿だとは感じたが』
御兄様はそう仰せになられますと、瑠璃之青の瞳による視線を私に向けられまして。
『ミスリル銀製の魔道具の耳飾りである夜之祝福による魔力の増幅効果を加味しても、短期間で女魔法使いとして成長したと感心をする』
御兄様の御言葉に対しまして、私は心底よりの感謝の気持ちを込めながら、恭しく深々と御辞儀を行いまして。
『有難う御座います。御兄様』
御兄様とテレーズィア御姉様と私による、兄妹の遣り取りを優しい眼差しにて御覧になられていられました御父様が。
『隼には、明日フロリアーヌを伴い内務省を訪れてもらう。ノイス家の上級の騎士殿の問題は内務省主導で解決する事になったが。フロリアーヌとレバークーゼン家の庶子とゾーリンゲン家の息女と、事を荒立てた責任を取らせる意味でのデュッセルドルフ家の上級の騎士殿の子息の四人は、内務省の衛兵隊に同行する許可が降りた』
ファルク御兄様の事を名前にて呼び慣わす事が出来ますのは、ケルン家の上屋敷内においては、御父様と純粋御母様の御夫妻のみです。
『はい。父上』
ファルク御兄様に対しまして御父様は、楽し気な表情を見せられまして。
『ファルクとは五分の杯を交わして義兄弟の契りを結んだ、子爵殿の嫡男でもあるレバークーゼン家の帝国騎士殿も、明日は庶子の異母弟を連れて内務省を訪れる予定だ♪』
ファルク御兄様は、アンリ卿の異母兄であらせられます、レバークーゼン家の帝国騎士様とは、義兄弟の契りを結ばれていられるのですか?。
『ケルン家とレバークーゼン家の間で一時期係争地となりかけた土地の問題を解決する過程で、御兄様はレバークーゼン家の帝国騎士殿と意気投合されましたわね。フロリアーヌ♪』
帝国女騎士身分であらせられますテレーズィア御姉様による御説明に対しまして、ファルク御兄様も笑みを御浮かべになられまして。
『他者とあそこまで意気投合したのは生まれて始めてだったので、父上と子爵閣下の御許しを得てから、五分の杯を交わして義兄弟の契りを結んだ。フロリアーヌ♪』
成る程。
『御教えを頂きまして、心底よりの御礼を申し上げます』
アンリ卿の異母兄であらせられますレバークーゼン家の帝国騎士様は、非常に魅力的な殿方のようです。




