エピソード477 ハンナさんへの重い感情を込めたナディーネさんの瞳
『親父の先走りのせいで伯爵閣下に御迷惑を掛けて、本当に申し訳なく思う…』
『御父様は、それ程気分を害しているようには感じられませんでした。ルネ卿』
帝都の貴族街にありますケルン家の上屋敷から、馬車にて帝都魔法学園まで戻って来ました私は、談話室にて学友の皆様方と集まり情報交換をしています。
『珍しくアタシの親父も、ゾーリンゲン家の上屋敷に帰って来ていたが。帝国騎士身分の兄貴達三人に続いて、娘のアタシも帝国女騎士身分にする好機だと受け止めていたから、気にすんなルネ』
帝国の君主であらせられます皇帝陛下の御信任の厚い官吏として、宮城にて忠勤に励まれていられます希望さんの御父君であらせられますゾーリンゲン家の男爵閣下は、上屋敷には月に一度御帰りになれるかどうかという非常に御多忙な御方ですが。大切な御息女であらせられます令嬢のナディーネさんには、御自身により今回の件に関する御説明を行われたようです。
『庶子の私は帝都魔法学園を卒業後は、いずれは父上からレバークーゼン家の家督を相続されます兄上に家臣の騎士として御仕えする予定だったのですが。皇帝陛下の直臣の臣下であります帝国騎士となるようにと、父上から命じられました』
{レバークーゼン家の子爵閣下からしますと、愛妾の女性奴隷労働者に産ませた庶子のアンリ卿が、魔法使いな御父君の血統を濃く受け継いだと御考えになられたのかも知れませんな?。我が主}
その可能性はあります髪飾り。アンリ卿は立派な貴公子ですが、止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方の間には自力救済の慣習がありますから。優秀な魔法使いとして成長なされた御令息様のアンリ卿を、皇帝陛下の直臣の臣下の帝国騎士身分とされるのは。レバークーゼン家に御仕えされる陪臣の家臣であります騎士様とするよりも、今後の役に立つと御考えになられたのだと推量をします。
『ナディーネ達四人だけなんだ。私とザスキアと真実はお留守番だね』
ナディーネさんの大切な幼馴染みにして想い人でもあります平民身分の恵さんが、ノイス家の上級の騎士様を滅ぼすかも知れない争いに参加する事が出来ないのを、半分安堵しながら半分残念という表情にて話されますと。
『ハンナとザスキアとヴェレーナも、帝国女騎士身分になる機会には、帝都魔法学園に在学中に恵まれると思うから、今回は我慢してくれ』
ナディーネさんの言葉にハンナさんは頷かれまして。
『うん。解った。気を付けてね。ナディーネ』
『ああ。気を付けると約束するハンナ』
ナディーネさんが藍色の瞳に重い感情を込めながら想い人でありますハンナさんを見詰める様子を、アンリ卿とルネ卿は黙って眺めていられました。




