エピソード46 今後も関わる可能性
『カラッカラッカラッ』
『…疲れた。胃に穴が開くかと本気で思ったぜ』
『希望さんに同意しますわね…』
競売会の会場を出まして、待機していた馬車に私達三人は乗車しましたが。ナディーネさんと真実さんの御二方は、主に心労から疲労困憊された御様子です。
『もう仮面は外しても良いのですね?』
私の確認に対して、ナディーネさんは馬車内の座席の背もたれに身体を預けられたまま。
『…ああ、構わないぜ。花』
ナディーネさんとヴェレーナさんは、仮面を外す気力さえ残っていないようですので。私だけ被っていた仮面を外しますと。
『准将閣下から御依頼を受けました、帝国軍から横流しされた、根元魔法の傀儡師を付与された魔道具も、ヴェレーナさんの巧みな手腕により無事に競り落とす事が出来ましたから。本日は物事が順調に進みました』
ナディーネさんの御爺様であらせられる、准将閣下から御受けした御依頼を無事に達成した事実を確認した私に対して。ナディーネさんとヴェレーナさんの御二方は脱力されたまま、藍色と緑青色の瞳を私に揃って向けられまして。
『フロリアーヌの平常心は凄ぇな…。競売会の会場の壇上の言葉を交わした兄妹が、止事無い身分だとは気が付いているんだろ?』
『フロリアーヌさんが身に纏われていられる強力な魔力を、御気に召されたようですわね…』
ナディーネさんとヴェレーナさんの御二方が、ここまで疲れた御様子を私に見せるのは初めてです。
『止事無い身分であらせられる兄妹の御二方の素性に関して、私は聞かない方が良さそうですね』
地方部出身の平民身分の私による考えに対して、ナディーネさんは上品に肩を竦められまして。
『まあ、普通ならその方が良いとアタシも思うが、今回に関しては普通じゃねぇからな』
確かに本日競売会の会場の壇上に上がった私達五人の魔法使いと女魔法使いは、意志ある魔道具でもある遺失魔道具に関連して、再び関わる可能性があります。




