エピソード43 壇上の五人
『天から根元魔法の素質を授かりし選良の殿方は、競売会にも多数参加なされていられるようですけれど。挑まれる魔法使いは、御兄様だけですわね』
『私達兄妹は、父上から好きにして良いとの御許しを頂いておりますけれど。競売会に参加なされていられる他の皆様方には、それぞれの御家中における事情もありますからね』
二階のボックス席にあった紐を引きまして、競売会で係員の方を呼び希望さんを私と真実さんの二人で追いましたが。一階の壇上には、帝都魔法学園にて根元魔法を学んでいる女子学生である私達三人以外にも、話しの内容から兄妹だと思われます魔法使いと女魔法使いの御二方が先に上がられていられました。
『意志ある魔道具でもある遺失魔道具の主に選ばれる機会に挑まれるのは、こちらの五人の皆様で宜しいでしょうか?』
進行役の係員の方が確認されていますが、私達五人以外には挑まれる方は居られないようです。
『貴女。身に纏う魔力が強いですわね♪』
先程まで兄妹にて話されていた、私達と同様に仮面を被られていられます女魔法使いの方が、壇上にて声を掛けて下さいましたので。
『有難う御座います。貴女様ほどではありません』
私も帝都魔法学園の二年生の中では、魔力が一番強い女子学生ですが。壇上に上がられた魔法使いと女魔法使いの兄妹が身に纏われている魔力は、明らかに格上の強さであると解ります。
『御兄様。こちらの女魔法使い殿を気に入りましたわ♪』
仮面を被られていますから、表情を窺う事は出来ませんが。帝国の貴族諸侯であらせられる皆様方の中では、侯爵閣下以上の爵位の上級貴族の家格に多く見られる容姿である、金髪と瑠璃之青の瞳をされている令嬢が、兄君に対して楽し気な口調にて話されますと。
『妹の話し相手になって頂き感謝をします。女魔法使い殿』
仮面を被っているので私の顔は解らないはずですが、確実に下の身分だと認識されて声を掛けて下されている兄君に対して、恭しく深々と御辞儀を行いまして。
『身に余る勿体ない御言葉に御座います』
『………』
私が話している間に、男爵閣下の御息女であらせられる令嬢のナディーネさんと、帝都にて手広く商売をなされていられる豪商を御父君とされる免状貴族身分のヴェレーナさんが揃って沈黙されているという事は。本当の意味での止事無い身分であらせられる兄妹の魔法使いと女魔法使いの御二方なのだと思われます。




