エピソード42 同い年の女子学生三人による友情
『本日の競売会における最期の品は、意志ある魔道具でもある遺失魔道具となりますが 』
「出品目録には、遺失魔道具としか書かれていませんでしたから、どのような品か楽しみですわね♪」
競売会の会場の一階にて、進行役の係員の方が話されている口上を聞かれた、二階のボックス席に居る真実さんが愉快そうに小声にて仰られますと。
「アタシ達とは異なり、本物の止事無い身分であらせられる皆様方の、御令息や令嬢や淑女も、競売会には参加されているみてぇだからな。最低限の安全措置は取られているとは思うけれどな?」
帝国の貴族諸侯であらせられる男爵閣下の御息女でもある希望さんは、御自身も令嬢だとはあまり自覚されてはいられません。
『匿名の出品者様の御意向により、競売会に参加なされていられる皆様方の中で、多少の危険は冒しても構わないと御考えの方が居られましたら、こちらまで御越し下さい。意志ある魔道具でもある遺失魔道具にもし選ばれれば、匿名の出品者様から無償にて御譲りを頂けます』
ふむ?。
「進行役の係員の方は、匿名の出品者様と二回繰り返して話されましたわね?」
ヴェレーナさんによる指摘に対して、仮面を被ったまま私は頷いて同意をしまして。
「競売会で万ヶ一問題が起きましても、御自身の姓名を出さずに揉み消せる身分の御方の可能性があると思われます。ヴェレーナさん」
ヴェレーナさんと私の話に、ナディーネさんも頷かれまして。
「ああ、ヴェレーナと花の言う通りだろうな。厄介な意志ある魔道具を、誰でもいいから押し付けようとしている感じだな」
多少の危険は冒しても構わないと、進行役の係員の方は話されましたが。危険度が解らないと、判断が難しいですね…。
「面白ぇ。どこの誰が出品者かは知らねえが、挑戦を受けてやんよ」
仮面を被られていますから、ナディーネさんの表情は窺えませんが。不敵な口調にて話されますと、私達二人を残してボックス席を出て行かれました。
「ナディーネさんは、心根が優しい令嬢ですね」
私の感想に対して、ヴェレーナさんは頷かれまして。
「私達二人に声を掛けますと、危険を冒してでも付き合ってくれるだろうと御考えになられて、敢えて無視して独断専行されたようにナディーネさんは振る舞われましたわね。フロリアーヌさん♪」
大切な幼馴染みでもある恵さんが同行していれば、ナディーネさんの反応は異なった可能性が高いとは思われますが。
「ナディーネさんがどう考えていられるかは解りませんが、私は大切な学友だと思っていますので。一緒に多少の危険を冒します」
私もナディーネさんと行動を共にすると話しますと、ヴェレーナさんは楽し気な口調にて。
「意志ある魔道具でもある遺失魔道具を、無償にて入手する機会を逃すのは、勿体なくて許し難いですわね。フロリアーヌさん♪」




