エピソード41 視野を広げるように諭してくれる同い年の学友二人
『落札となります』
「お見事です。真実さん」
「ありがとうございます。花さん♪」
希望さんの御爺様であらせられる准将閣下より、競売会で落札して入手するように依頼をされた帝国軍から不正に横流しされた魔道具ですが。ヴェレーナさんの巧みな手腕により、無事落札する事が出来ました。
「傀儡師の根元魔法が付与されているのは、間違い無ぇんだな?。フロリアーヌ」
二階のボックス席から仮面を被っている私達三人は、競売会の会場の一階にて出品されている品々を見ていますが。ナディーネさんの確認に対して頷きまして。
「はい。間違いありませんナディーネさん。若輩者の私は対象者を自らの信奉者に変える非常に高度な根元魔法である、傀儡師はまだ使えませんが。御代官様の依頼を受けた祖父が使用したのを見た事がありますから、付与されている根元魔法の魔力の波長が同じであると確認しました」
仮面を被られているのでナディーネさんの表情は窺えませんが、上品に軽く肩を竦められまして。
「三十年間帝国軍で勤め上げた退役軍人でもあるフロリアーヌの爺さんは、本当に腕利きの魔法使いなんだな」
対象者を自らの信奉者に変えてしまう傀儡師は、非常に強力で危険な根元魔法ですので。帝国之住民の使い手は、例外無く全員が内務省に登録されています。
「祖父は確かに偉大な魔法使いですが、その血統を受け継ぐ孫娘でもある私は、まだ傀儡師を使えませんから。不肖の孫娘です。ナディーネさん」
本心からの私の言葉に対して、帝都魔法学園にて共に根元魔法を学んでいる、同い年の十四歳の女子学生であるナディーネさんとヴェレーナさんは、揃って首を横に振られますと。
「爺さんは爺さんだ、孫娘のアタシ達には関係が無ぇよ。フロリアーヌ」
「ナディーネさんの仰られる通りですわね。フロリアーヌさん」
地方部出身の女魔法使いである私は、故郷では身近に祖父しか根元魔法を扱える魔法使いが居ませんでしたから。判断基準が狭くて自己評価が低いと、ナディーネさんとヴェレーナさんは感じていられるようです。
「ありがとうございます。ナディーネさんにヴェレーナさん」
視野を広げた方が良いと諭してくれる同い年の学友でもあるナディーネさんとヴェレーナさんは、私にとっては本当に貴重で有難い存在です。




