エピソード37 容姿を利用した潜入
『希望とお友達は本当に可愛いわ♪』
『アタシ達はお袋の着せ替え人形じゃねえぞ…』
ナディーネさんの御爺様であらせられる准将閣下からの依頼を御受けした私達三人は、帝都の貴族街にある上屋敷にて、男爵夫人様の指示を受けた侍女の皆さんにより着替えさせて頂いています。
『帝都魔法学園の制服のままという訳にはいきませんから。ナディーネさん』
『解っているさ花。仮面を被っての競売会への参加とはいえ、流石に制服姿のままじゃ怪しまれるからな』
ナディーネさんの御爺様であらせられる准将閣下からは以前にも、帝都の闇市場で取り扱われていた特定の魔道具を購入して欲しいとの依頼を御受けした事がありますが。今から思えばあの時に購入した魔道具も、帝国軍から横流しされた品だったのだと思われます。
『今回は前回の爺さんの依頼とは異なり、顔が解らねえ競売会への参加だが。フロリアーヌの金髪と瑠璃之青の瞳と、真実の銀白色の髪の毛と緑青色の瞳は、仮面を被っていても外から解るから。競売会に参加する他の連中からも怪しまれる可能性は減るからな』
私は地方部出身の平民身分の小娘に過ぎませんが、帝都では金髪と瑠璃之青の瞳は、貴族諸侯であらせられる皆様方の中でも、侯爵閣下以上の爵位である上級貴族の家格に多く見られる容姿ですので。競売会の他の参加者に対して、止事無い身分の令嬢か淑女が、仮面を被りお忍びにて競売会に参加していると誤解させる狙いがありますが。
『やはり男爵閣下の御息女であらせられる令嬢のナディーネさんは、夜会服の着熟しが自然体で美しいと感じます』
私による嘘偽りの無い素直な感想に対して、ヴェレーナさんも銀白色の髪の毛を揺らしながら頷いて同意をされまして。
『免状貴族身分の私と、平民身分のフロリアーヌさんだけでは、見た目は誤魔化せましても、立居振舞いや所作の細かな違いにより、競売会の参加者に違和感を与える恐れがありますから。ナディーネさんの存在は非常に心強いですわね』
私とヴェレーナさんによる感想に対して、ナディーネさんの御母堂であらせられる男爵夫人様が笑顔にて。
『ヴェレーナさんとフロリアーヌさんは、私から見ても素敵な令嬢ですわね♪』
貴族諸侯であらせられる男爵夫人様による御気遣いを頂いた私とヴェレーナさんは、揃って恭しく深々と御辞儀を行いまして。
『身に余る勿体ない御言葉で御座います。男爵夫人様』
『心底よりの御礼を申し上げますわ。男爵夫人様』
私とヴェレーナさんによる御母堂であらせられる男爵夫人様への反応を見て。夜会服を完璧に着熟していられるナディーネさんが、苦笑を浮かべられまして。
『口を開いたらアタシが一番怪しまれるな。基本的に黙っているから、交渉はヴェレーナに任せた』
帝都にて手広く商売をされている豪商を御父君に持つヴェレーナさんは、ナディーネさんに対して笑顔で頷かれまして。
『はい。仮面を被らない競売会への参加経験は過去にもありますから、任せて頂きますわね。ナディーネさん♪』




