エピソード33 根元魔法の能力を認める眼差し
『来たりて我に従え。魔界の番犬である双頭犬よ!』
帝都魔法学園の地下施設にある、召喚魔法を安定的に行使する為の魔方陣の前で、魔法使いでもあるアンリ卿が意識を集中されまして根元魔法を発動されますと、床の魔方陣が鈍い光を発しました。
『グゥウルルルッ!』
私達が暮らす物質界とは異なる次元に存在する、魔界の番犬でもある双頭犬が呼び出されましたが。アンリ卿に対して二つある頭部の口から牙を剥いて、魔方陣の中から威嚇をしています。
『魔界の住民は上位者に服従するので、自らの魔力の方が上であると、双頭犬に示すように。アンリ卿』
経験豊富な魔法使いであらせられる、帝国騎士身分の老教授による、落ち着いた冷静な言葉による指導に対して、アンリ卿は真剣な表情にて頷かれますと。
『はい。帝国騎士様』
アンリ卿は帝国の貴族諸侯であらせられる子爵閣下が、所有物でもある奴隷身分の女性奴隷労働者に手を付けて産まれた、奴隷腹の妾腹の貴公子ですが。帝都魔法学園にて根元魔法を学ばれていられる、同期生でもある二年生の男子学生の中では、学業に真摯に打ち込まれていると感じます。
『我は汝を呼び出し使役する魔法使いなり。服従せよっ!』
アンリ卿が再び意識を集中されまして、体内の魔力を呼び出した双頭犬に対して向けますと。魔方陣の中の双頭犬は、二つある頭部の四つの目にて、自らを魔界とは異なる次元の物質界に呼び出したアンリ卿を、値踏みするように観察しましてから。
『クゥウウウーーンッ』
普通の犬が飼い主に従うように、魔界の番犬でもある双頭犬は魔方陣の中にて伏せますと、アンリ卿に服従する姿勢を自ら示しました。
『見事だ。アンリ卿』
帝国騎士身分であらせられる老教授による言葉に対して、先程までの緊張を解かれたアンリ卿は、黒髪と褐色の肌色とは対比する、手入れが行き届いている並びの良い純白の歯を見せながら、貴公子然とされた笑みを見せられまして。
『ありがとうございます。帝国騎士様♪』
アンリ卿による召喚魔法の実習を見学していた、同い年の女子学生である私と希望さんと真実さんと恵さんも。同い年のアンリ卿に対して、天から根元魔法の素質を授かりし女魔法使いの立場から、根元魔法の能力を認める眼差しを揃って向けました。




