エピソード20 選択した講義内容
『そういえば花は、根元魔法の眩惑と防御魔法を同時に常時発動してるよね?』
公衆浴場の脱衣所で身嗜みを整えました私達同い年の女子学生の四人は、帝都にある図書館へと向かい徒歩で移動していますが。恵さんが歩きながら、薄茶色の瞳に意識を集中させまして、私が身に纏っている魔力から常時発動している根元魔法の種類を言い当てられました。
『はい。ハンナさんの言う通りです。昨夜も図書館から公衆浴場へと向かう途中で、浮浪児のスリに懐の財布を狙われましたが。帝都に詳しいヴェレーナさんからの助言に従い眩惑を常時発動していましたので、私にぶつかり懐を弄ろうとした浮浪児は、距離の目視を誤り石畳に転倒しました』
私による説明を聞いた、ハンナさんの幼馴染みでもあるナディーネさんが笑いながら。
『その浮浪児は狙った相手がフロリアーヌでついてたな♪。アタシだったら痛め付けて追い払う所だが、フロリアーヌの事だから小銭を与えてあしらったんだろ?』
ふむ?。
『私はナディーネさんには話していませんわ。フロリアーヌさん♪』
私の疑問を敏感に察して聞かれる前に答えるヴェレーナさんは、他者の機微に本当に鋭い女性だと思います。
『ヴェレーナさんの鋭い感覚は、私には真似が出来ないので羨ましく思います』
素直に感じたままを話した私に対して、ヴェレーナさんは満面の笑みを浮かべられまして。
『フロリアーヌさんにそのように思ってもらえて、非常に光栄ですわね♪』
嬉しそうに話されたヴェレーナさんに頷いてから、ナディーネさんに対して。
『帝都魔法学園の男子学生の中には、気性が荒くて問答無用で根元魔法を扱う人も居ると、浮浪児のスリに対して警告はしておきました。ナディーネさん』
私の話にナディーネさんは、灰白色の髪の毛を揺らしながら頷かれまして。
『今日はアタシ達は、治癒魔法の実習講義を選んだが。血の気の多い連中は、帝都近郊での根元魔法を用いた狩猟講義に参加していやがるからな』
根元魔法には向き不向きがありますから、帝都魔法学園では受講する講義内容は学生の自由意志に委ねられています。
『私も最初は狩猟講義の方に参加しようかと考えたのですが、ヴェレーナさんから治癒魔法の実習講義を一緒に受講しようと誘われました』
私の話にヴェレーナさんは笑顔で頷かれまして。
『フロリアーヌさんは男子学生から人気のある女子学生ですから、近郊とはいえ帝都の外での狩猟講義に参加されるのは心配でしたわね♪』
ヴェレーナさんの反応に対して、ナディーネさんが笑われながら。
『ヴェレーナはフロリアーヌに対して、本当に過保護だな♪』
男爵閣下の御息女であらせられる令嬢として、御領地内での狩猟の経験もあるナディーネさんが、治癒魔法の実習講義を選ばれたのは、幼馴染みのハンナさんが参加するからという理由に関しては。私とヴェレーナさんは、敢えて指摘はしませんでした。




