エピソード2 夜も活気のある街路にて
『ワイワイ・ガヤガヤ・ザワザワ』
『アハハハッ♪』
『今宵も帝都は活気がありますね』
閉館時間となった図書館を後にしまして、湯浴みを行う為に公衆浴場へと向かって歩いて移動をしていますが。
『いつもの飲食店に行くか?』
『ああ。あの店でいいだろ』
仕事帰りだと思われます勤め人の人達が、同僚らしき友人と今宵の夕餉を摂るお店に関して話しながら歩いています。
『タタタタッ。あっ、美人のお姉さん悪いスカッ。ドサッ』
背後から走り寄って来た貧しい身形をした少年が、私にぶつかり懐の財布を狙おうとしましたが。目視を誤り勢い余って石畳の街路に倒れ込みました。
『痛たたたっ。あれ、おかしいな?』
帝都には他者の懐の財布を狙いスリで生計を立てている浮浪児が数多く暮らしていると、学生寮の女子寮で寄宿生活を送る学友の女子学生から、地方部出身の私に対して親切に教えてもらっています。
『着ている制服を確認してから、スリの獲物を物色した方が良いですよ』
目視を誤り私にぶつかる事に失敗した浮浪児の少年は、立ち上がりますと魔道具の街灯の明かりに照らされている私の姿を確認しまして。
『うん?。あっ、その制服。魔法使いと女魔法使いを養成している、帝都魔法学園の学生さんの服だ』
浮浪児の少年の言葉に頷きまして。
『その通りです。帝都魔法学園の学生の中には、問題無用で根元魔法を使う気性の荒い男子学生も居ますから。以後は注意をした方が良いですよ。チャリンッ』
『パシッ』
そう言うと私は財布から帝国ターレルの銅貨を三枚取り出しますと、浮浪児の少年に投げてあげましたが。手慣れた動きで素早く空中で三枚とも見事に捕らえました。
『へへっ、こいつはどうも令嬢♪。今後は帝都魔法学園の制服を着ている学生さんは狙わないようにしやす』
歓心を買う為の媚びた愛想笑いを浮かべた浮浪児の少年に対して、私も笑顔で頷きまして。
『そうして下さい。帝都の街路で帝都魔法学園の学生に問題を起こされますと、私も少し困りますから』