表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
198/452

エピソード198 一度きりしかない人生ですからね

『今宵も非常に楽しい時間が過ごせました。フロリアーヌ女史♪』


『私の方こそ御馳走様でした。カール卿』


飲食店ガスト・シュテットでの夕餉ゆうげり終えましてから、カール卿と私の男女二人は、帝都にあります幼年学校カデッテン・アンシュタルトの正門近くまで話ながら歩いて来ました。


『また御会い出来ると嬉しく思います。フロリアーヌ女史♪』


幼年学校カデッテン・アンシュタルトにて寄宿生活を送られるカール卿は、遊び相手として私を気に入られたようです。


『はい。カール卿』


止事無やんごとない身分であらせられます、貴族諸侯のツヴィングリ男爵バローン閣下の御馳走様であらせられますカール卿は、私が過度に入れ込まない適度な距離を保つ素っ気ない態度で肯定をしますと、満面の笑みを見せられまして。


『ありがとうございます。フロリアーヌ女史♪。それではお休みなさい』


『はい。カール卿。御休なさい』


カール卿が幼年学校カデッテン・アンシュタルトの正門を通り姿が見えなくなるまで見送りますと、私は公衆浴場バーデ・ハオスに向けて歩き出しました。


{我が主とカール卿は御似合いですな♪}


御父君であらせられますツヴィングリ男爵バローン閣下から、血統により根元魔法の素質を受け継がれなかった一般人なカール卿からしますと。退役軍人な魔法使マーギアーいの祖父から、隔世遺伝で根元魔法の素質を受け継いだ孫娘エンケリン女魔法使マーギエリンいの私は、将来的に御自身が儲けたいと御考えになられている御息女の令嬢フロイラインの理想像なのかも知れません。髪飾ハール・シュムックり。


{成る程。単なる遊び相手という訳では無く、カール卿の御立場からしますと、我が主のように優れた選良ディ・エリーテ女魔法使マーギエリンいを、御息女であらせられる令嬢フロイラインとして天から授かりたいと御考えになられる訳ですな}


私が優れた女魔法使マーギエリンいであるかは評価が分かれますが、カール卿の御立場からしますと、御父君であらせられますツヴィングリ男爵バローン閣下のエンケル孫娘エンケリンとなる御自身の御子は、隔世遺伝により天から根元魔法の素質を授かりし魔法使マーギアーいか女魔法使マーギエリンいである事を、強く望まれていられるのだと思われます。髪飾ハール・シュムックり。


{女魔法使マーギエリンいの我が主が、カール卿の御夫人となれば、魔法使マーギアーいか女魔法使マーギエリンいが生まれる確率は高まると思われますが?}


私は地方部出身の平民身分の村娘ですよ髪飾ハール・シュムックり。止事無やんごとない身分であらせられます皆様方の愛妾にはなれるかも知れませんが、御正妻であらせられます御夫人にはなれません。そして私自身も、加齢に伴い容色が衰えたら捨てられる可能性の高い愛妾となるのは望みませんから。カール卿と私の男女関係は、遊び相手に始まり終わります。


{我が主は慎重な御方ですな♪}


一度きりしかない人生ですからね。他者に運命を委ねる愛妾という不安定な生き方を選ばないだけです。髪飾ハール・シュムックり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ