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エピソード196 帝都における主な治安機関

『こちらのお店のターフェル・シュピッツは、本当に美味しいです』


『ありがとうございます。当店が提供する料理の中でも、人気のある看板料理です。お客さん♪』


図書館ビブリオテークでの読書を終えましてから、二人でカール卿の馴染みの飲食店ガスト・シュテット夕餉ゆうげりに来ましたけれど。以前にも頂きました牛の腰肉を煮込んだ料理であるターフェル・シュピッツは、非常に美味しいと感じます。


フロリアーヌ女史は肉料理を好まれますが、本当に美味しいに食べられますから、私も見ていて楽しい気分となります♪』


カール卿と私と飲食店ガスト・シュテットの給仕をされている女性の三人で話をしていますが、本日は以前に来店した時よりも空いていて、給仕の女性もカール卿と話す余裕があるようです。


『近くで古物市が開催されていた時は、非常に忙しかったようですけれど?』


私が話を振りますと、給仕の女性は困った表情を見せながら、店内の掲示板の方に視線を向けられまして。


『衛兵隊の皆さんだけでなく、財務警察の皆さんも帝都の奴隷市場から逃げ出した奴隷を探していて、最近この辺りは治安機関の人達が数多く姿を見せますから、お客さん達の客足が遠退いています』


給仕の女性が向けた視線の先にあります掲示板には、衛兵隊が貼った逃亡奴隷の人相書きだけで無く、財務省の管轄下にあります財務警察による人相書きも貼られていました。


『帝国の法律上は奴隷は所有物である財産扱いですから、財務省の管轄下にあります財務警察も、逃亡奴隷の捜索活動を行う訳ですね』


私による感想に、幼年学校カデッテン・アンシュタルトにて寄宿生活を送られていますカール卿も御頷きになられまして。


『帝都における主な治安機関としましては、軍務省の管轄下にあります憲兵隊と、内務省の管轄下にあります衛兵隊と、財務省の管轄下にあります財務警察の三組織が存在しますが。お互いに組織同士による対抗意識があるようです。フロリアーヌ女史』


ケルン家の伯爵グラーフ閣下は、帝都憲兵隊の副総監をされていられまして、希望ナディーネさんの御爺様グロースファーターであらせられます准将閣下も、軍務省にて勤務されています。財務省はヴュルテンベルク家の城伯ブルク・グラーフ閣下が、団体ハンザの盟主でもある帝国自由都市リューベックとの連絡役を務められる、参与官をされていられます。


『競争原理が働くのは基本的には良い事ですけれど、飲食店ガスト・シュテットからしますと治安機関で働く公僕こうぼくの皆様方が、逃亡奴隷を捜索される役儀やくぎに従事をされて通行人に対する職務質問を繰り返す環境では、仕事帰りに同僚と食事エッセンを楽しむ気分にはなれないので、一種の営業妨害となっている訳ですね』


私による見解に対して、飲食店ガスト・シュテットの給仕の女性は頷いて同意を示されまして。


『お客さんの言う通りです。早く捕まってくれれば良いのですけれど』

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