エピソード192 念話をする際の一言
『原子核崩壊』『バシュウッ』
『見事ですわね。花さん♪』
『有難う御座います。男爵夫人様』
帝都の貴族街にあります、希望さんの御父君であらせられますゾーリンゲン家の男爵閣下の上屋敷に戻りましたが。ヴュルテンベルク家の城伯閣下の上屋敷にて開催されました晩餐会での話を聞かれた男爵夫人様が、上屋敷の地下にある根元魔法の訓練施設の中で、大気中の魔力を集めて装着者の根元魔法の能力を一時的に向上させる夜之祝福の効果を見てみたいと仰せになられました。
『止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方の、帝都の貴族街にあります上屋敷の地下には、こうした根元魔法の訓練施設があるのでしょうか?』
貸して頂いた夜会服から、帝都魔法学園の学生服に着替えて、命中した標的を消滅させる根元魔法である原子核崩壊を放った私の疑問に対して、ナディーネさんが軽く肩を竦められまして。
『家みたいに、爺さんが将官の准将の軍階級で軍務省で勤務していて、男爵夫人のお袋が元軍人で、三人いる帝国騎士身分の兄貴達が交代制で領主代行をしていない時は、爺さんと一緒に軍務省で働いている軍人一家な貴族諸侯の家門は、止事無い身分であらせられる皆様方の間でも珍しいからな』
ナディーネさんの仰られる通りゾーリンゲン家の皆様方は、宮城にて官吏として宮仕えなされていられます男爵閣下と、帝都魔法学園にて根元魔法を学ばれている女子学生のナディーネさんを除けば、帝国軍の関係者となります。
『ケルン家の伯爵閣下は、帝都憲兵隊の副総監をされていられますが。ヴュルテンベルク家の城伯閣下は、公職に就かれていられるのでしょうか?』
今宵の晩餐会を主催なされたヴュルテンベルク家の城伯閣下は、根元魔法至上主義者として知られていますが。地方部出身の平民身分の村娘に過ぎない私には、それ以上の知識はありません?。
『城伯閣下は帝都の財務省と、帝国の北の玄関口でもある団体の盟主である帝国自由都市リューベックとの、連絡役の参与官をされていられますわね。フロリアーヌさん』
男爵夫人様による御言葉に対して、私は感謝の気持ちを込めて恭しく深々と御辞儀を行いまして。
『御教授を頂きまして、心底よりの御礼を申し上げます。男爵夫人様』
『お気になさらずに。フロリアーヌさん♪』
『はい。男爵夫人様』
ヴュルテンベルク家の城伯閣下は、財務省の参与官でしたか。
{少し意外かも知れませんな。根元魔法至上主義者の御方ですから、軍部や教育機関に関与されているかと思いましたが?}
『私は今脳内で、髪飾りと念話をしています』
髪飾りの言う通りですね。
『さっき馬車の車内で、恵に言われた事を気にしてんな。フロリアーヌ』
一言断りを入れてから、髪飾りと念話をした私に対して、ナディーネさんがそう来たかという表情にて言われましたので。
『はい。その通りです。我ヶ半身である髪飾りとの念話を止めるつもりはありませんから、他の皆様方と会話をしている時に脳内会話である念話をする際には、一言断りを入れようかと考えました。ナディーネさん』