エピソード188 ル・ジオッコ・デル・ロト・ディタリア
「コロッコロッコロッ。ポロンッ」
『二十に御座います』
晩餐会の余興として、ヴュルテンベルク家の城伯閣下の上屋敷にて行われている賭博遊戯ですが。回転式の抽選器により、数字が書かれた球が一つづつ選ばれています。
『ル・ジオッコ・デル・ロト・ディタリアですわ♪』
『御目出度う御座います。令嬢』
ケルン家の伯爵閣下の御息女であらせられます、令嬢が仰せになられた。ル・ジオッコ・デル・ロト・ディタリアとは何でしょうか?。
『賭博遊戯の発祥国の言葉で、数字が揃ったという意味ですわね。花さん』
成る程。
『有難う御座います真実さん。地方部出身の平民身分の村娘の私は、本当に無知であると改めて再認識しました』
左隣に腰掛けていられますヴェレーナさんに対して御礼を述べますと、右隣に座られている恵さんが。
『気にする必要は無いよフロリアーヌ。私もゾーリンゲン家の男爵閣下の御息女の希望の幼馴染みでなければ、異国発祥の賭博遊戯の事なんか知らないと思うから』
『ハンナさんの仰られる通りですわ。フロリアーヌさん』
私は本当に人間関係に恵まれています。故郷では退役軍人でもある一家の家長な魔法使いの祖父から、唯一血統により根元魔法の素質を受け継いだ女魔法使いの孫娘として、両親や兄弟姉妹からは常に怪物を見るかのような眼差しを向けられながら生きて来ましたから。帝都に来てから初めて他者に対して心を許せるという感覚を学びました。
「コロッコロッコロッ。ポロンッ」
『十三に御座います』
ふむ?。
『ル・ジオッコ・デル・ロト・ディタリアです』
配られた紙票を、回転式の抽選器で選ばれた球と同じ数字を鉛筆で塗り潰していましたが。一列揃いました。
『おめでとうございます。御二方は前まで御足労を願います』
城伯閣下に御仕えされているヴュルテンベルク家の家臣の家宰様の御言葉に従いまして、令嬢と私の二人は席を立ち前に向かいましたが。
「やはり似ていられますわね」
「金髪と瑠璃之青の瞳だけで無く。顔立ちも本当に良く似ていられる異腹の姉妹ですわね」
ケルン家の伯爵閣下の御息女であらせられます令嬢と初めて御会いした競売会の会場では、全員が仮面を被っていたので髪の毛と瞳の色しか解りませんでしたが。令嬢と私は金髪と瑠璃之青の瞳以外にも、容姿が似ているようです?。