エピソード185 非常に勉強となります
『皇帝陛下万歳・万歳・万万歳。帝国に栄光あれ』
『『皇帝陛下万歳・万歳・万万歳。帝国に栄光あれ』』
帝都の貴族街にありますヴュルテンベルク家の上屋敷内の晩餐会の会場にて、首唱者であらせられます城伯閣下による音頭に合わせて、出席者の全員にて唱和をしました。
『乾杯』
『『乾杯』』
乾杯には本来は健康を祝してという意味のある言葉ですので、帝国の君主であらせられます皇帝陛下の健康を祝しての乾杯となります。
『皆様方も御着席下さい』
首唱者として乾杯の音頭を取られました城伯閣下が御着席をされましてから、ヴュルテンベルク家に御仕えなされていられる家臣の家宰様の御言葉に従い、私達も席に着きました。
「お酒で無くて助かったね」
右隣に座る恵さんによる小声での感想に、私は小さく頷きまして。
「葡萄酒では無く、新鮮な果実を搾った果汁で助かりました。ハンナさん」
帝都魔法学園にて根元魔法を学ぶ学生の私達には、乾杯用の葡萄酒では無く、新鮮な果実を搾った果汁がクリスタル・硝子製の器に淹れて用意をされました。
「御自身の上屋敷にて、伯爵閣下の御息女であらせられます令嬢を含むうら若き少女を酔い潰しますと、城伯閣下の外聞に関わりますわね。花さんにハンナさん」
左隣の席に腰掛けていられます真実さんによる話しにも、私は小さく頷きまして。
「伯爵閣下の御息女であらせられます令嬢の他にも、男爵閣下の御息女であらせられる希望さんも晩餐会に出席なされていられますから。城伯閣下による御気遣いは、適切であると思います。ヴェレーナさん」
止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方の間では、このような細やかな御気遣いと御配慮が、晩餐会の席ではされているのだと。地方部出身の平民身分の村娘に過ぎない私からしますと、非常に勉強となります。