エピソード184 根元魔法至上主義者な御方
『城伯閣下の御入来です』
スッスッスッ。
帝都の貴族街にありますヴュルテンベルク家の上屋敷にて開催される晩餐会の会場にて、家宰様でしょうか?。ヴュルテンベルク家の家臣の御方による言葉を聞いた私達は、ケルン家の伯爵閣下の御息女であらせられます令嬢も含めて全員が椅子から立ち上がりまして、恭しく深々と御辞儀を行いました。
『面を上げられるように』
『『有難う御座います。城伯閣下』』
晩餐会の会場に御入来あそばれました城伯閣下は、私達に対して面を上げるように促されましてから、上座に御着席されました。
『皆様方も御着席下さい』
スッスッスッ。
家宰様らしき御方の言葉に従いまして、私達も全員着席をしますと。
『本日は当家が主催します細やかな宴にお集まりを頂き、心底よりのお礼を申し上げます』
ふむ?。ヴュルテンベルク家の城伯閣下は、根元魔法至上主義者な怜悧な御方であると聞き及んでいましたが。身に纏う魔力は確かに非常に強力な魔法使いではありますが、物腰が非常に柔らかい止事無い身分であらせられます貴族諸侯であるとの第一印象を受けます。
『私達は皆天から根元魔法の素質を授かりし選良である魔法使いと女魔法使いですので、本日は親交を深める機会を設けさせてもらいました』
帝国は封建制度を政治体制に採用していますから、帝都の貴族街にあります止事無い身分であらせられます貴族諸侯の御方の上屋敷にて、私のような地方部出身の平民身分の村娘が出席する事が出来る、貴賤貧富を問わない晩餐会を開催なされる時点で、ヴュルテンベルク家の城伯閣下は、天から根元魔法の素質を授かりし選良であるかの一点のみを重視される御考えの持ち主であるのは明白です。