エピソード177 故国に貢献をしたいと本気で思うようになりました
『またお会いするのを楽しみにさせてもらいます。真実女史に、花女史♪』
『はい。カール卿。本日は有難う御座いました』
『まあ御会いするのを楽しみにさせて頂きますわね。カール卿♪』
別れの挨拶を交わしました黒髪のカール卿が、幼年学校の正門内に入りまで見送りましてから。
『御父君であらせられますツヴィングリ男爵閣下は、御嫡男様であらせられるカール卿を、非常に厳しく躾られつつも、慈しまれながら育てられたようですね。ヴェレーナさん』
私の見解に対して、銀白色の髪の毛と緑青色の瞳をされていられますヴェレーナさんは、笑顔で御頷きになられまして。
『カール卿は非常に優れた立志伝中の魔法使いにして、御父君であらせられます男爵閣下から、血統により根元魔法の素質は受け継がれ無かった一般人の殿方ですけれど。同い年の異性の女子学生である女魔法使いの私達に対して、嫉妬される事が一切無い真っ直ぐな心根の持ち主ですわね。フロリアーヌさん♪』
ヴェレーナさんによるカール卿に対する評価を聞いた私は、幼年学校の正門に再び瑠璃之青の瞳による視線を向けまして。
『私は退役軍人として軍人恩給を受給しながら、地方部で農家の家長をしている祖父から根元魔法の素質を受け継いだ孫娘ですけれど。家長の祖父が魔法使いですので、両親や兄弟姉妹は面と向かっては女魔法使いの私を怪物とは呼びませんでしたが、常に怯えた眼差しを私に対して向けていましたから。血を分けた身内の中で魔法使いと女魔法使いと一般人が暮らす家庭の大変さは、平民身分の村娘に過ぎない私も少しは理解をしているつもりです』
私による忌憚を無い率直な気持ちを聞いたヴェレーナさんは、銀白色の髪の毛を揺らしながら御頷きになられまして。
『カール卿の事が羨ましく感じますと話されたフロリアーヌさんによる気持ちは、伝わったと思いますわね』
魔法使いの祖父から先祖返りとも呼ばれる隔世遺伝により、根元魔法の素質を受け継いだ女魔法使いな孫娘である私は。御父君であらせられるツヴィングリ男爵閣下から、根元魔法の素質を受け継ぐ事が出来なかった御嫡男様のカール卿に対して、羨ましく感じますと話すのは、本来でしたら非常に傲慢な発言に聞こえますが。
『レバークーゼン家の子爵閣下の御令息様であらせられるアンリ卿とは違う意味で、ツヴィングリ男爵閣下の御嫡男様であらせられますカール卿も、素晴らしい殿方だと心底より思いました。ヴェレーナさん』
{封建制度を政治体制に採用している帝国では、止事無い身分であらせられる貴族諸侯の皆様方の跡継ぎや支える騎士様となる若者は、厳しく躾られて立派に成長されていられますな。我が主}
帝国の未来は明るいですね。私もヴェレーナさん達と共に、皇帝陛下の直臣の臣下である帝国女騎士身分となり、故国に貢献をしたいと本気で思うようになりました。髪飾り。