エピソード174 二人きりだから話せる素直な不安
『花さんが恵さんと仲良く学生寮に帰って来られた様子を見た時に、希望さんの藍色の瞳の中に険難な光が浮かんでいましたわね♪』
『ナディーネさんにとってのハンナさんは、掛け替えの無い大切な幼馴染みですから。真実さん』
帝都魔法学園の学生寮の女子寮に、私とハンナさんは帰って来ますと。其れ其れナディーネさんとヴェレーナさんの部屋に行き、生菓子屋にて購入したお菓子を一緒に食べています。
『女子寮の部屋は狭いですから、フロリアーヌさんと並んで食べられないのが残念ですわね』
私は勉強机前の椅子に座り、ヴェレーナさんは御自身の寝台に腰掛けられまして、就寝前ですがお菓子を食べています。
『私は帝都の住宅事情に関しては無知なのですが、やはり賃貸住宅を女子学生の私達が借りて暮らすのは難しいのでしょうか?』
御父君が帝都にて手広く商売をされている免状貴族身分の豪商なヴェレーナさんは、私の質問に少し考え込まれまして。
『帝国は封建制度を政治体制に採用していますから、やはり皇帝陛下の直臣の臣下である帝国女騎士身分となってから、私達が同棲をする住居を探すべきだと思いますわね。フロリアーヌさん』
{我が主と首飾りの主が同棲をするのは、確定事項なようですな}
地方部出身の平民身分な村娘である私としましては、非常に頼りになるヴェレーナさんと同棲をするのは心強いです。髪飾り。
『帝都の貴族街にあります侯爵閣下の上屋敷で、非礼を働かないか不安です』
ヴェレーナさんと二人きりですので、止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方による社交界に関する知識と常識が欠落している不安を素直に吐露した私に対して、嬉しそうな満面の笑みを見せられまして。
『フロリアーヌさんに頼りにされて、非常に嬉しく思いますわ♪』
{奇妙な御方ですな?、首飾りの主は。我が主}
ヴェレーナさんが非常に頼りになるのは疑いの余地の無い事実です。髪飾り。