エピソード172 ナディーネさんとハンナさんが二人きりで過ごす時間
『カランッ』『いらっしゃい。おや、恵ちゃん今日も来てくれたんだね。いつもの時間帯に来ないから、忙しいのかと思ったよ♪』
『談話室で友達と話していたら遅くなっちゃったの』
公衆浴場の脱衣所でハンナさんと話しますと、洗濯屋に行く前に立ち寄りたいお店があると言われたので同行をしましたが、店内に甘い香りが漂う生菓子屋でした。
『閉店時間に間に合って良かったよ。ハンナちゃん♪』
ハンナさんと生菓子屋の女店主は、以前からの知り合いのようです。
『後ろに居る帝都魔法学園の学生服を着ている、金髪の別嬪さんは、初めて見る顔だね?』
{我が主も甘いお菓子は嫌いではないようですが、積極的に店に買いに行く程でもないようですな}
甘い物が食べたくなりましたら、飲食店で提供されるお菓子や果物で普段は十分です。偶には強い甘さに心引かれる事はありますけれど。髪飾り。
『初めまして。帝都魔法学園にてハンナさんと共に根元魔法を学んでいる花と言います』
私が真実さんに言われて一年以上伸ばしている金髪を揺らしながらお辞儀を行いますと、生菓子屋の女店主は好意的な笑みを見せまして。
『礼儀正しい金髪の別嬪さんだね♪。あっ、もしかして希望ちゃんと同じく、止事無い身分であらせられる皆様方の令嬢か淑女かい?』
金髪と瑠璃之青の瞳という容姿から誤解される事に慣れている私は、首を左右に振りまして。
『ご安心下さい。私はハンナさんと同じく平民身分です』
私と女店主が話している間も、ハンナさんは閉店間際の生菓子屋の見切り品の品定めを行われながら。
『ナディーネとは時々一緒に来て、学生寮の女子寮の、私かナディーネの部屋で一緒に食べながらお喋りをして過ごすから♪』
就寝前に、女子寮の自室で甘いお菓子を食べるのですか?。
{太り…。我が主と同い年の同性の御学友に対して失礼ですな}
『あっ、今、太ると考えたでしょう?』
ハンナさんは本当に、他者への観察眼が鋭いです。
『完全には否定をしません。ハンナさん』
公衆浴場で見た範囲では、ハンナさんには必要以上の脂肪分が身体には付いていないようでした。
『私とナディーネは食べた分は動いているから、甘いお菓子を食べても大丈夫だから』
{公衆浴場でハンナ女史が話されていた、腕輪の主が馬乗りとなり短いツインテールを左右に引っ張る事を、運動だと話されていられるのでしょうか?}
幼馴染みのナディーネさんとハンナさんが、二人きりの時にどのような親密な触れ合いをされているのか、私には知る由もありません。髪飾り。