エピソード170 ハンナさんだから気が付けた点
『チャプン。シャアアアッ』
『恵さんと二人きりで、公衆浴場での湯浴みを行うのは珍しいですね』
『普段はもう少し早い時間帯にお風呂に入りに来るのだけれど、今夜は談話室で皆と話していたら遅くなったから♪』
男爵閣下の御息女であらせられます令嬢の希望さんの、大切な幼馴染みであるハンナさんは、帝都魔法学園の二年生の女子学生の中でも、自然と中心人物となります。
チラッ。
『チャプン。シャアアアッ』
{ハンナ女史と会いました公衆浴場の脱衣所でも、特に奇妙な動きを見せる女性は居ませんでしたな?。我が主}
止事無い身分であらせられます、貴族諸侯であらせられる皆様方の中でも。侯爵閣下以上の爵位である上級貴族の令嬢や淑女と、外見だけは誤認をする金髪と瑠璃之青の瞳をしている私が、主に平民身分の皆さん向けの公衆浴場に湯浴みに来ると向けられる好奇の視線は今宵も感じましたけれど。それ以外には…。
『チャプン。シャアアアッ』
「ねえ、花。一ヶ月くらい前からかな?。毎日長湯をして貴女が来るのを待っている女の人が二人いるけれど、何か心当たりはある?」
ハンナさんが大浴場のお湯に浸かりながら、湯気で周囲から口元の動きを見えないようにされつつ、小声にて教えて下されたので。
「先に来て待っていましたか…。教えて頂き感謝をします。ハンナさん」
{普段は我が主よりも先に公衆浴場に湯浴みに来ているハンナ女史だからこそ、気が付かれたのですな}
それもありますけれど、ハンナさんは常に周囲の様子を観察されて、細やかな気遣いの出来る女性でもあります。髪飾り。