エピソード159 話し方から解る出自
『父上が御治めになられていられますツヴィングリ男爵家の御領地は、帝国の北の玄関口でもあります、皇帝陛下の直轄領にして、団体の盟主でもある帝国自由都市リューベックとは、交易船の舟運により繋がっていますので、様々な異国の珍しい物品が手に入りやすい環境ではありますけれど。帝国の中枢である帝都でしか入手が出来ない装飾品等もありますから、購入をして財産母上と星姉上に、手紙と共に送っています。花女史♪』
ツヴィングリ男爵閣下の御嫡男様であらせられます黒髪のカール卿は、本当に楽しそうに御家族に関する話題を笑顔にて話されていられます。
『帝国自由都市リューベックには、帝都魔法学園とは異なる根元魔法の教育機関である、叡智学園がありましたね?。カール卿』
飲食店の四人掛けの席で、私の隣に腰掛けていられますカール卿は、私と話せる事が楽しいらしく、笑顔のまま御頷きになられまして。
『はい。フロリアーヌ女史♪。ヴュルテンベルク家の城伯閣下の跡継ぎにして、シュテラ姉上の婚約者でもある帝国騎士様が、非常に優秀な御学友の皆様方と共に、叡智学園にて根元魔法を学ばれていられます』
{カール卿は魔法使いである御父君から、血統により根元魔法の素質を受け継がれ無かった点は、一切気にされてはいないように見受けられますな?。我が主}
天から根元魔法の素質を授かりし選良な女魔法使いでもある私と、こうして楽し気に話されていられる時点で、魔法使いであるかどうかには、一切拘られていないのだと思われます。髪飾り。
『カールは本当に御家族と仲が良いな』
コクッコクッコクッ。
幼年学校にて、カール卿と共に学ばれていられます兵士卿による感想に対して、姉のザスキア女史も頷いて同意を示されますと。
『父上とウーテ母上とシュテラ姉上とは、幼い頃から仲良く過ごして来たからな。ギュンター♪』
ふむ?。御父君であらせられますツヴィングリ男爵閣下の事は父上と呼び慣わされまして、御母堂様と姉君とは違い名前は言わない点は、封建制度を政治体制に採用しています帝国の貴族諸侯であらせられます男爵閣下の御嫡男様であると感じます。
{意識されて呼び方を区別されているというよりは、生まれ育たれた環境にて自然と身に付けられた話し方のようですな。我が主}
カール卿御自身は自覚されていられないかも知れませんが、こうした話し方の一つからも、止事無い身分であらせられる出自である事が解ります。髪飾り。