エピソード157 非常に満足をされたようです
『アンリ卿は御父君であらせられます子爵閣下に、家臣の騎士様として御仕えする将来像を明確に描かれていますから。帝都魔法学園にて共に根元魔法を学ぶ私達に対しても、話せる内容を常に慎重に選ばれていられますわね。花さん♪』
『はい。真実さんの仰られる通りです』
帝都魔法学園の学生寮の女子寮にあります私の部屋に、御父君との話を終えて帰って来られましたヴェレーナさんが訪れましたので。私は寝台に座り、ヴェレーナさんは勉強机の前の椅子に腰掛けられながら話をしています。
『アンリ卿の御父君であらせられます子爵閣下からしますと、宮城にて宮仕えをなされていられます、皇帝陛下の御信任の厚い官吏の男爵閣下の御息女の令嬢でもある希望さんが、後学の為に会談を見学されるのは。貴族街にあります帝都憲兵隊の総監であらせられます侯爵閣下の上屋敷にて、副総監のケルン家の伯爵閣下が不穏な動きを見せない保険が一つ増えたと御考えになられまして、歓迎されたのは容易に想像が付きます』
寝台に座りながら見解を述べた私に対して、椅子に腰掛けていられますヴェレーナさんは、笑顔にて御頷きになられまして。
『その通りですわねフロリアーヌさん♪。帝都にて手広く商売をなされていられます、免状貴族身分の豪商である御父様も、娘の私が独自の人脈作りをしている事は、歓迎されていられましたわ』
御父君とヴェレーナさんの父娘は、緊張感のある波乱含みな関係のようですけれど。侯爵閣下の上屋敷にて開催される、ケルン家とレバークーゼン家の会談を見学する件に関しては、父娘が揃って歓迎されていられるようです。
『フロリアーヌさんは、故郷の御爺様に手紙を書かれないのですか?』
幼馴染みのナディーネさんと共に、貴族街にあります男爵閣下の上屋敷を訪問している恵さんのように。地方部で農家をしている退役軍人である家長の祖父に手紙を書かなくてよいのかと、ヴェレーナさんが質問されましたので。
『帝国の君主であらせられます皇帝陛下の庇護下にある帝国郵便の郵便馬車で、地方部にある故郷に手紙を届けてもらいまして、祖父からの返信が帝都にある帝都魔法学園の学生寮届く頃には。侯爵閣下の上屋敷での会談は終わっていますから、手紙を出す意味がありません。ヴェレーナさん』
私の返答を聞かれたヴェレーナさんは、満足気な表情にて御頷きになられまして。
『フロリアーヌさんは、独自の判断により動く事の出来る、自立した女魔法使いですわね♪』
免状貴族身分の御父君の家父長権から解放される為に、帝国女騎士身分を目指していられるヴェレーナさんは、私が家長である祖父の意向を気にしない点に、非常に満足をされたようです。