エピソード154 無意識の排除
『カラッカラッカラッ』
官庁街で見掛ける官吏の皆様方は、帝都の他の地区の帝国之住民と比べますと、天から根元魔法の素質を授かりし魔法使いと女魔法使いが多いように感じます。
{官庁街で見掛ける官吏や軍人の皆様方は、一割程度が魔法使いや女魔法使いなようですな。我が主}
『カラッカラッカラッ』
夜間でも馬車が行き交う帝都の官庁街は、早足で忙しいそうに移動されていられます、官吏の制服や帝国軍の軍服を着用されていられる皆様方を多数見掛けますが。髪飾りの言う通り十人に一人程度の割合で、魔法使いや女魔法使いのようです。
{先程に謁見をいたしましたケルン家の伯爵閣下も、帝都憲兵隊の副総監を勤められていますが。帝国では強力な魔法使いや女魔法使いの皆様方が、要職を占めていられるのでしょうか?}
ケルン家の伯爵閣下は、確かに非常に強力な魔力を身に纏われていられましたが。帝国の身分制度は、それ程単純な仕組みではないと思います。希望さんの御父君であらせられます男爵閣下は、天から根元魔法の素質を授からなかった一般人ですけれど。皇帝陛下の宮城にて、御信任の厚い官吏として宮仕えをされていられます。髪飾り。
{我が主の仰られる通りですな。今宵は官庁街での人間観察を続けられますか?}
チラッ。
いえ、根元魔法の帰還で、帝都魔法学園の学生寮に帰ります。
{官庁街では帝都の他の地区よりも、衛兵隊と憲兵隊に所属する隊員の姿を多数見掛けますが。帝都魔法学園の学生服を着ていられる女子学生の我が主は、かなり目立たれますからな}
先程から衛兵隊に所属される隊員の方による視線を感じます。職務質問をされても厄介ですから、一度物陰に入り視線を切ってから、帰還で女子寮に帰る事にします。髪飾り。
{解りました。職務質問をする為に我が主の後を追いましたら、物陰に入ったはずなのに姿を消したと衛兵は不審に思うかも知れませんが。一割程度が魔法使いや女魔法使いの官庁街で働いていれば一般人でありましても、根元魔法を使ったのであろうと自分自身を納得させる可能性が高いですからな}
髪飾り。衛兵隊の隊員も、魔法使いの可能性を無意識に排除していますよ。
{おっと。確かにその可能性もありましたな我が主}
帝都魔法学園の教授陣や学生を除けば、これまで出会った魔法使いと女魔法使いは、止事無い身分であらせられる皆様方が多いですから。髪飾りが衛兵隊の隊員は一般人だろうと無意識に思い込むのも、無理からぬとは思います。