エピソード15 幼馴染みの操作方法
『花と真実に異論が無ぇなら、咎人への治癒魔法は恵にやってもらおうぜ』
『ええっ。何で私なのよ。希望っ!』
ハンナさんは赤茶色の髪の毛を、短いツインテールの髪型にされていますが。気が乗らないのに散歩に行こうと誘われた時の子犬の反応を連想させる表情と仕草で、幼馴染みのナディーネさんに対して抗議をされました。
『理由は単純明快だ。アタシとフロリアーヌとヴェレーナは、過去にも鞭打たれた連中を使い、治癒魔法の練習をする機会があったが。ハンナはこれまで鞭打で出来た裂傷を、治癒魔法で癒した経験が無ぇだろ』
帝都魔法学園に入学する前から、共に根元魔法を学ばれて来られたナディーネさんに冷静に指摘をされますと。ハンナさんは薄茶色の瞳の視線を、刑場の地面に向けまして。
『た、確かに。ナディーネの言う通りだけれど…」
ハンナさんに対して、単なる幼馴染み以上の感情を抱いていられるように思われるナディーネさんは。私とヴェレーナさんの二人に対して、藍色の瞳を向けまられますと。
『ハンナに譲ってもらって構わねえか?』
ナディーネさんによるハンナさんへの態度は、些か過保護なように感じないでもありませんが。本日は治癒魔法の実習講義ですので、未経験のハンナさんを優先する事自体は、間違ってはいないのかも知れません?。
『私に異論は御座いませんわ。ナディーネさん♪』
銀白色の髪の毛と緑青色の瞳をされている、免状貴族身分の豪商の御父君による薫陶を受けて成長されたヴェレーナさんが。藍色の瞳と灰白色の髪の毛をしている、帝国の貴族諸侯であらせられる男爵閣下の御息女でもある令嬢のナディーネさんに対して、恩を売る良い機会だと素早く胸算用を済ませまして。笑顔で同意をされました。
『悪いなヴェレーナ。フロリアーヌはどうだ?』
ナディーネさんの確認に対して、私は地方部の故郷から帝都に来て以降、女子寮の隣室でもあるヴェレーナさんに勧められて伸ばしている金髪を揺らしながら、瑠璃之青の瞳による視線をハンナさんに向けまして。
『ハンナさんにその気があるのでしたら?』
私の言葉を聞いたナディーネさんが、幼馴染みに対して挑発するような笑みを見せられまして。
『ハンナが尻尾を巻いて尻込みするなら、フロリアーヌが替わってやるそうだぜ♪』
ナディーネさんによる挑発を聞いたハンナさんは、薄茶色の瞳による視線で、幼馴染みのナディーネさんを睨み付けますと。
『やってやろうじゃないっ!』
ナディーネさんはハンナさんにやる気を出させるには、挑発して怒らせるのが一番だと考えていられるようです。