エピソード148 防御不可能
『原子核崩壊』『バリンッ、バシュウッ』
退役軍人である祖父から理論だけは学んでいました、根元魔法の原子核崩壊を標的に目掛けて発動をしますと。私の周囲に展開をしていました不可視の障壁である魔法障壁を粉砕して、そのまま直進して命中した標的を完全に消滅させました。
『パチッパチッパチッ』
『お見事ですわね。花さん♪』
光り輝く魅力に溢れる真実さんが、拍手をされながら満面の笑みにて称賛されますと、非常に嬉しく感じます♪。
『えっ、えっ。今の何。魔法障壁を粉砕して、私の火槍に耐えた標的を消滅させたけれど?』
恵さんが何が起きたのか解らずに混乱されますと、希望さんが仕方がないという表情を御浮かべになりつつ、深い気持ちを込めた藍色の瞳による眼差しを、大切な幼馴染みであるハンナさんに対して向けられまして。
『原子核崩壊だ。香水の瓶による、一時的な魔力強化無しにいつでも放てる女魔法使いなら、平民身分の生まれでも爺さんが働く軍務省に尉官の少尉として即座に採用される、一撃必殺の防御不可能な攻撃魔法だ。ハンナ』
『防御不可能って…』
『先程にヴェレーナ女史が標的に向けて放たれた死之舞踏は、命中さえすれば人間でも動物でも必ず命を奪う即死魔法ですが。フロリアーヌ女史が放たれた原子核崩壊は、防御不可能な上に、火槍のように要塞の城壁も貫通をします。ハンナ女史』
私が周囲に展開した魔法障壁に突進されて、気絶して倒れ込まれたザスキア女史を診ていられました教授ですが。ザスキア女史が意識を取り戻したの確認されて、私達への講義を再開されました。
『魔法障壁でも防御が出来ませんから、原子核崩壊は回避して避けるか、相手が放つ前に先手必勝で倒すしか対処方法が無い、文字通りの一撃必殺の根元魔法となります』
教授による講義内容に、受講している学生達は成る程と納得した表情にて頷かれまして。
『回避可能という事は、敵による攻撃の命中精度を下げる眩惑は、原子核崩壊に対して有効な対策となるのですね。教授』
魅了効果が付与された私に対して見蕩れていられましたアンリ卿ですが、レバークーゼン家の子爵閣下の御令息様として、意識を帝都魔法学園にて根元魔法を学ぶ魔法使いへと完全に切り替えて質問される姿は、素直に素晴らしいと感じます。
{止事無い身分であらせられます、貴族諸侯のレバークーゼン家の子爵閣下から、奴隷腹の庶子でありながら正式に認知されただけの事はありますな。我が主}
子爵閣下が、アンリ卿を正式に認知をされてレバークーゼン家の一員とされたのは、間違い無く英断だったと思います。髪飾り。
『はい。その通りですアンリ卿。ただ眩惑は、命中精度を低下させるだけですから、原子核崩壊を必ず回避する根元魔法ではありません』
原子核崩壊は命中さえすれば、人間でも動物でもガーゴイルでもゴーレムでも消滅させる、防御不可能な非常に強力な攻撃魔法となります。