エピソード145 共通する見解
『真実さんは普段から非常に魅力的な女性ですけれど、ザスキア女史が古物市にて購入されました魔道具である香水の瓶を使い、一時的に魔力を強化された副作用としての魅了効果が加わりますと、光り輝いて見えます』
『ありがとうございます、花さん。非常に嬉しく思いますわ♪』
銀白色の髪の毛と、緑青色の瞳をされていられますヴェレーナさんは、地方部出身の平民身分の村娘に過ぎない私に対して、非常に親切にして下される優しい女性ですが。今の彼女の美しさは…。
『ブンッブンッブンッ』
『まあ、気持ちは解る。アタシも恵を見ていて、抑え込むのが難しい衝動に駆られたからな。フロリアーヌ』
雑念を払う為に、ヴェレーナさんに言われて一年以上伸ばしている金髪を激しく左右に揺らしながら、頭を振りますと。大切な幼馴染みであるハンナさんの方を見ないようにされている希望さんが、気持ちは解ると声を掛けて下さいました。
『どちらかというと、ヴェレーナがフロリアーヌに対して抱く気持ちの方が重いように感じていたけれど。フロリアーヌも別に嫌な訳じゃなかったんだ』
周りの事を良く見ていられまして、細やかな気遣いの出来るハンナさんによる指摘を聞いた私は。
『私自身が一番驚いています。ハンナさん』
{魔道具である香水の瓶による魅了効果が切れた後も、我が主が首飾りの主に対して、今抱いているのと同じ感情を持ち続けるかにより、本心が判明するかと思われますな}
意志ある魔道具でもある遺失魔道具の髪飾りによる、冷静な見解が、魅了効果により私自身が正常な判断を下せているのか怪しくなっている現状では、非常に助かります。
『ナディーネさんの腕輪は、念話で何と言われていますか?』
ナディーネさんに対して、瑠璃之青の瞳による視線を向けて尋ねますと。彼女は自らの右手首に装着されている腕輪に、藍色の瞳による眼差しを向けられながら。
『多分フロリアーヌに対して、髪飾りが話しているのと同じ内容だ』
私の髪飾りと、ヴェレーナさんの首飾りと、ナディーネさんの腕輪は、元は一つの意志ある魔道具でもある遺失魔道具でしたけれど、異なる個性があるようにも感じられますが。魅了効果に関しては、見解が共通しているようです。