エピソード141 念話中の注意事項
ゾロッゾロッゾロッ。
『アンリ卿は御父君であらせられます、レバークーゼン家の子爵閣下から贈られました、謀殺を防止する為の毒化無効の指輪を填めていられますけれど。止事無い身分であらせられます皆様方の中には、魅了効果のある魔道具の装飾品を身に付けていられる御方も居られるのでしょうか?』
帝都魔法学園の内部を移動しながら、地方部出身の平民身分の村娘として尋ねますと。黒髪と褐色の肌色をされているアンリ卿は、手入れの行き届いていられます、純白な並びの良い歯を見せながら笑顔にて。
『時と場合によります花女史。先程に令嬢希望女史が御話になれていましたように、貴族諸侯でであらせられます皆様方の中には、家風や家訓の違いもありますが。帝都の貴族街にあります上屋敷や、御領地の城館内には、魔道具の効果を機能停止とする結界を張られている場合もありますので。魔道具による魅了効果に過度に依存するのは危険であるとの共通認識が、帝国の社交界にはあります』
意志ある魔道具でもある遺失魔道具を入手されたとしましても、止事無い身分であらせられます皆様方が、主として認められない場合もあるはずです。
{帝国の貴族諸侯であらせられます皆様方の中には、腕輪の主の御父君のように、非常に優秀な能吏として、宮城にて宮仕えをされていられる一般人の御方も居られますから。そうした優れた一般人である御方でしたら、主として認めてよいと考える意志ある魔道具は中には居ると思われます。我が主}
成る程。必ずしも天から根元魔法の素質を授かりし魔法使いと女魔法使いに、拘る訳ではないのですね。髪飾り。
『ナディーネは腕輪に加えて、昨日古物市で魔道具の皮剥ナイフも買っていたものね』
大切な幼馴染みである恵さんによる指摘に対して、ナディーネさんは歩きながら軽く肩を竦められますと。
『親父の上屋敷に預けて来た皮剥ナイフは、血糊が付着しないから便利ではあるが。帝都に居る間は使い途は無ぇからな。ハンナ』
ナディーネさんの仰られる通りです。地方部でしたら鶏卵を産まなくなった雌鶏を屠畜する際に、首を切り落とす等して試せますが。便利で快適な生活を送れます帝都内では、家畜を自らの手で屠畜する必要がありません。
{皮剥ナイフの試し斬りの為だけに、帝都の奴隷市場に行き捨て値で販売されている奴隷を購入するのも、勿体なく感じますからな。我が主}
同感ですが。髪飾りも勿体ないと感じるのですね?。
『だから。皮剥ナイフの試し斬りをする為だけに、奴隷市場に探しには行か無ぇからな。腕輪』
ナディーネさんも念話にて、私と髪飾りの会話に近い内容を話されていられたようです。
『ナディーネ。声に出ているよ』
ハンナさんに言われたナディーネさんは、少し驚いた表情を見せられまして。
『あ、ああ、悪いハンナ。腕輪がしつこくてな』
私も学生寮の自室以外の場所での、髪飾りとの念話中には、声に出さないように注意をする必要があります。