エピソード140 非常に有効な政治的な武器
『~~~~~~~~~♪』
『……………………』
「花が、頭痛が痛そうな表情をしているね?。希望」
「…それを言うなら頭が痛いだ。恵」
…私と同様に魔力に敏感な女魔法使いのナディーネさんも、普段でしたら気風の良い口調に翳りが感じられます。
『魔道具である香水の瓶の中に入れた百合の抽出液は、フロリアーヌ女史が魔力を流し込み変化させれば、奏でる音色は止みます』
帝都魔法学園にて教鞭を執られていられます、魔法使いの教授による説明を聞いた私は。
『それでは香水の瓶の中の百合の抽出液に、魔力を流し込みます。教授』
『はい。お願いをします。フロリアーヌ女史』
『~~~~~~~~♪』
…煩いですね。
『シュウウウッ』
ザスキア女史が昨日古物市にて購入されました、魔道具でもある香水の瓶の中の百合の抽出液に、奏でる音色を沈黙させる為に魔力を流し込みました。
『…………………』
ふうっ。やはり静寂は素晴らしいです…。
{腕輪の主と首飾りの主も、百合の抽出液が奏でていた音色が鳴り止み、安堵された表情を見せられていますな。我が主}
長時間聞いていますと意識が朦朧として来る百合の抽出液の音色ですから、私もナディーネさんも真実さんも、鳴り止んで安堵するのは共通しています。
『変化は成功ですね。見事です。フロリアーヌ女史♪』
『有難う御座います。教授』
百合の抽出液を沈黙させる方向に意識が向いていましたから、香水の瓶の中の変化を確認していませんでした。
『私達天から根元魔法の素質を授かりし選良である、魔法使いと女魔法使いからすれば、一時的にしろ魔力を強化する事が出来るのは、非常に便利ですが。製造を依頼したと思われます一般人は、我々から見れば副作用でしかない、魅了効果を齎す香りの方に興味があったのは、ほぼ確実だと思われます』
帝国は封建制度を政治体制に採用していますので、止事無い身分であらせられます皆様方の婚姻は、基本的に政略結婚ですけれど。
{舞踏会や晩餐会の席にて、貴族諸侯であらせられます皆様方の社交界での注目を浴びる魅力は、非常に有効な政治的な武器と成り得ますからな。我が主}
他の武器と同様に、扱い方を間違えれば身の破滅に繋がりますけれど。魅了効果は確かに使い方次第では、有効な道具と成り得ます。髪飾り。