エピソード138 私にとってはとても大きな幸運
『魔道具は非常に便利ではありますけれど、使用の仕方によっては危険でもあります』
学生食堂での朝餉を摂り終えまして、帝都魔法学園での本日の講義を受講しています。
『工房を経営される親方の多くは、帝都魔法学園の卒業生でもある魔法使いですが。帝都における多様な需要の中には、魔道具を身に着けずに、根元魔法の恩恵だけを得られるようにしたいというものもあります』
「えっ、どういう意味?」
一緒に講義を受講されている恵さんが、教授の話された内容が理解出来ずに困惑されますと。
「貴族街にある親父の上屋敷は違うが、止事無い身分であらせられる貴族諸侯の皆様方の中には、上屋敷や御領地の城館内では、魔道具が機能停止となる結界を張っている場合があんだよ。ハンナ」
ハンナさんに対して、幼馴染みの希望さんが説明をされますと。
『その通りです。令嬢ナディーネ女史』
「…一応は小声で話していたつもりなんだがな?」
「ナディーネの声は良く響くからね♪」
『毒殺などの謀殺防止の魔道具の為に、止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方の中には、御自身の城館内や上屋敷でも、魔道具が普通に機能するようにされていられる家門もありますけれど。中には屋内では一切の魔道具が機能停止となる結界を張られている場合もあります』
{結界の効力は、張った魔法使いと女魔法使いの根元魔法の技能に大きく左右されますから、弱い魔道具なら機能停止させられましても。意志ある魔道具でもある遺失魔道具には、効果が及ばない場合が多いですな。我が主}
私が金髪に着けている髪飾りと、ナディーネさんの腕輪と、真実さんの首飾りを、一時的にしろ機能停止させられるだけの結界を張れる根元魔法の技能の持ち主は、殆どいないという訳ですね。
{御明察畏れ入ります。我が主♪}
『私達のように天から根元魔法の素質を授かりし魔法使いと女魔法使いでしたら、魔道具が一時的に機能停止となる結界内でも、根元魔法さえ使えればそれ程の不便はありませんが。一般人の中には、そうはいかない皆様方も居られます』
ふむ?。チラッ。
「教授には昨夜の内に、本日の講義でザスキア女史が昨日古物市で購入されました魔道具である、香水の瓶を用いた講義を行うように話を通して起きましたわ。花さん♪」
私が瑠璃之青の瞳を向けますと、ヴェレーナさんが笑いながら小声で仰られました。
{首飾りの主は、本当に仕事が速いですな。我が主}
ヴェレーナさんは非常に優秀な女魔法使いです髪飾り。彼女と帝都魔法学園にて友誼を結べたのは、私にとってはとても大きな幸運でした。